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※この画像は『妖ノ恋』さまの了解をえて公開しております。
そういえば、あたしが村に戻って半年ぐらいたった頃、妖怪が村を襲ったことがあったわ。
なんていったっけ、あの妖怪?
ね、ね、根っこ・・・そうだ、根の首よ。
地下に根をはりながら人の養分を吸い取る性質(たち)の悪い妖怪だったわ。
あの妖怪は、昔、桔梗が塚に封じたんだって。
まだ犬夜叉と出逢う前のことだって楓婆ちゃんが教えてくれたわ。
それでなのね、犬夜叉が根の首を知らなかったのは。
根の首が復活したのは山崩れで塚が壊れたせいだった。
復活した途端、根の首は片っ端から周囲の人を襲いはじめたわ。
襲われた人は養分をみんな吸いとられて骨だけの骸(むくろ)になっちゃうの。
しかも首を持ち去るのよ。
グロイわ、エグイわ、悪趣味だわ。
首ってことは頭、頭部のことよね。
それって『逆髪の結羅』を思い出させない?
あれっ、覚えてないかな?
ほら、あたしが犬夜叉と出逢って間がない頃、襲ってきた妖怪よ。
見た目はナイスバディの可愛い女の子なんだけど、やることなすこと凄くエグかった。
四魂の欠片目当てに村の人を操って楓婆ちゃんを襲わせ大怪我させたの。
あたしと犬夜叉も襲われたのよ。
当時の犬夜叉は、まだ鉄砕牙をもってなかったから結羅には相当手こずったわ。
あたしとの仲もうまくいってなかったしね。
結羅の得物は死人の髪、それを操って敵を倒すの。
だから、髪を集めるために人を殺して頭を収集してたの。
ねっ、根の首とよく似てるでしょ。
それでね、根の首ってば、自分が封印されてから五十年以上たってるのを知らないの。
まあ、長い間、塚に封じられてたから仕方ないんだけどね。
だからって、あたしと桔梗を間違えて襲うなんて失礼しちゃうわ。
おまけに未だに四魂の玉があると思い込んで奪いにきたのよ。
馬鹿みたいでしょ、四魂の玉なんて、もうとっくに消滅してこの世に無いのに。
すっごく時代遅れというか傍(はた)迷惑な妖怪だったわ。
犬夜叉と弥勒さまは妖怪退治の仕事から帰るなり楓婆ちゃんの処に直行。
大事な話があるとかで三人でゴニョゴニョ相談してたわ。
あたしとりんちゃん、珊瑚ちゃんと子供達は弥勒さまの家で待機してたの。
そうしたら、お約束通りに根の首が襲ってくるじゃない。
勿論、珊瑚ちゃんが応戦したわ。
あの程度の雑魚妖怪、飛来骨の一撃で粉砕よ。
でも根が素早く地中にもぐったの。
まだ生きてる。
なんてしぶとい奴なの。
そこへ騒ぎを聞きつけた犬夜叉と弥勒さまが慌てて駆けつけてきたわ。
もう事情を隠しておけないと踏んだんでしょうね。
弥勒さまが一連の騒動について説明してくれたの。
もうっ、何でそんな大事なことを隠すのかしら。
いくら桔梗が関係してるからって。
犬夜叉ってば気にしすぎ!
このまま根の首を放置すれば村の人まで犠牲になりかねないわ。
あたしは以前のように犬夜叉に負ぶわれて根の首を捜しにでた。
りんちゃんと珊瑚ちゃん達は、そのまま家の中に。
というのも根の首の目的は四魂の玉と桔梗への復讐。
なら絶対にあたしを狙ってくる。
ここから離れたほうがいいと判断したの。
やっぱり襲ってきたわ、あいつ。
村のあちこちに根の首が出没、村の人が犠牲になるところだったわ。
でもね、幸い、琥珀くんが雲母(きらら)に乗って加勢してくれたの。
珊瑚ちゃんや弥勒さまも応戦。
でも、根が相手だけにキリがないの。
斬っても斬っても生えてくる。
土の中でドンドン増えてるのよ。
なんてしつこい奴なの。
これじゃ本体を叩かないといつまでも埒(らち)が明かない。
そう思ってたら破魔矢が!
楓婆ちゃんが桔梗の破魔矢を撃ってくれたの。
破魔矢が落ちた場所に反応して逃げる根の首。
逃がすもんですか!
追いかけようとしたあたしの足元から値の首が!
あたしを喰い殺そうと大きな口をあけて襲ってきた。
でも、間一髪、犬夜叉があたしを救出。
そのまま攻態勢にうつったわ。
やっと本体をあらわした根の首。
グロテスクだったわよ~~~
大小の目玉がアチコチについた巨大な根っこの化け物だったわ。
一番大きな目玉の周囲には刈り取った頭がぶら下ってて。
大きな口には鋭い歯というか牙がズラッと並んでた。
「四魂の玉ごと喰ってやる~~~」
なんて喚いて大口をあける根の首。
あたしは破魔矢を、犬夜叉が鉄際牙で風の傷をお見舞いしてやった。
風の傷で破壊され、あたしの破魔矢で浄化され、根の首は跡形もなく消滅していった。
ふうっ、これで無事解決。
うん、久し振りの妖怪退治だったわ。
でも、犬夜叉ってば桔梗のことを隠すなんて。
ちょっと心外。
もっと信用してほしいわね。
だからね、あれをいったの。
「おすわり」
地面に叩きつけられた犬夜叉。
ふふっ、あれいうのも久々。
凄く懐かしかったわ。
※⑨に続く
そうそう、コッチに来て驚いたことがもう一つあったわ。
なんだと思う?
それがね、りんちゃんのことなの。
なんと、りんちゃんってば楓ばあちゃんと一緒に暮らしてたの。
これまた吃驚(びっくり)よね。
あたし、てっきり殺生丸が連れ歩いてるもんだとばっかり思ってたわ。
何でも殺生丸が楓ばあちゃんに頼み込んだらしいわよ。
りんちゃんを預かってくれって。
あの殺生丸が人間に頼みごとをするとはねえ。
まさしく『晴天の霹靂(へきれき)』だったわ。
それか『驚き桃の木、山椒の木』よね。
それにしても変われば変わるものねえ。
とても出逢って早々、あたしを殺そうとした冷血漢とは思えないわ。
あれっ、知らなかった???
殺生丸って昔は冷酷非情だったのよ。
妖怪だろうが人間だろうが気に障(さわ)れば情け容赦なくズバズバ殺しちゃうの。
もの凄~~くおっかない奴だったのよ。
あたしだって何度殺されそうになったことか。
犬夜叉だってそうよ。
お父さんの形見である鉄砕牙をめぐって何度も殺生丸に殺されかけたの。
その度に大怪我をして。
本当に傍(はた)迷惑な兄弟喧嘩だったわ。
犬夜叉と殺生丸って兄弟なんだけど昔はすっごく仲が悪かったのよ。
なんでかっていうと殺生丸は純血の妖怪だけど犬夜叉は半妖なの。
わかるでしょ、つまり、お母さんが違うのよ。
犬夜叉のお母さんは人間なの。
異母兄弟ってやつね。
だからかしら、殺生丸は犬夜叉をひどく蔑(さげす)んでたの。
卑しい人間の血が混じってるってね。
人間なんか目にするのも穢(けが)らわしいって感じだったわ。
それが今や平気で村に出没してバンバン姿を見せてるのよ。
あたしが驚くのも無理ないでしょ。
これは犬夜叉が楓ばあちゃんから聞いた話なんだけど。
りんちゃんを預かったのは人里にもどす訓練なんですって。
将来、どっちでも選べるようにって。
それって、りんちゃんに人里で暮らすか、殺生丸と暮らすかを選ばせるってことよね?
でも、殺生丸にりんちゃんを手放す気なんてあるのかしら???
あたし、絶対に無いと思うわ。
だって、しょっちゅう、りんちゃんに逢いにきてるのよ。
あの極めつけの人間嫌いだった殺生丸が。
それも、何かしらお土産を携えて。
やれ着物だの、帯だの、髪飾りだの、それはもう色々と。
おまけに、殺生丸が持参する品が、これまた、こんな鄙(ひな)びた人里では滅多に見られない上等な品ばかりなの。
もう、村の人達に交じると浮くのなんの。
だって、りんちゃんだけが色鮮やかで上等な着物を着てるんだもん。
あたしは現代にいたから別にカラフルな着物に驚いたりしないんだけどさ。
ろくに色目の着物をみたこともない村の人からみればお姫さまも同然よね。
そんな事情から、りんちゃんは、やっぱり特別扱いなの。
まあ、無理もないか。
あんな綺麗で強くておっかない大妖怪がついてるんだもんね。
りんちゃん、完全に殺生丸のお姫さまじゃない???
というか許婚(いいなずけ)扱い???
もう将来は殺生丸のお嫁さんコース確定でしょ。
りんちゃんはりんちゃんで殺生丸大好きだしね。
顔よし、頭よし、財力あり、完璧じゃない。
あんな婿がね(=婿さん候補)がついてるのよ。
りんちゃんに求婚する身の程しらずなんか出るもんですか。
それでも殺生丸が村に頻繁に顔をだす意味は?
あれ、どう考えても威嚇と牽制よね。
何の???って。
そんなの決まってるでしょ。
りんちゃに手をだすなってことよ。
三年ぶりに会ったりんちゃんは随分と大きくなってたわ。
村の暮らしにもすっかり馴染んでるようだし。
楓ばあちゃんとの仲もよくて二人が一緒にいると本物の祖母と孫みたいなの。
りんちゃんって、元々、可愛い娘だったんだけどね。
衣食住が安定したせいか、益々、肌艶がよくなって凄く綺麗になってたわ。
本当に美少女って感じなの。
あと数年もしたら間違いなく凄い美女になるでしょうね。
殺生丸が焦るはずだわ。
※⑧に続く
高校の卒業式の後、あたしは謝恩会に出席。
友達との別れを惜しんだの。
みんな、それぞれ進路が違うからね。
思いっきり食べたり喋ったり楽しい時を過ごしたわ。
今、思い返してみると、あれは本当にみんなとのお別れだったのね。
そして次の日、あたしは久し振りに骨喰いの井戸をのぞきこんだの。
目にうつったのはいつもと同じ涸(か)れ井戸の底。
色々な思いが胸にあふれて思わず目をつむっちゃった。
そして願ったの。
(犬夜叉----逢いたい)
感じるはずのない風が井戸の底から吹いてきて。
目をあければ、そこにあったのは晴れ上がった青い空。
(・・・信じられない)
(つながったんだ、アッチに)
あたしの様子に何かを感じたママが側にきて・・・
そして井戸の底をのぞいて全てを察してくれたの。
「そらが・・・」
「ママ・・・私・・・」
あたしが何をいおうとしたのかママは直ぐに察してくれた。
これは骨喰いの井戸があたしにくれた最後のチャンス。
多分、井戸をくぐれば、もう二度と戻ってこれない。
でも、もう、あたしは決めてたんだ。
四魂の玉を滅した時、犬夜叉とともに生きるって。
だから、あたしは・・・
ママは涙ぐみながら笑ってソッと背中を押してくれた。
「それでいいのよ」
ごめんね、ママ、ろくに親孝行もできずにコッチにきちゃって。
あれから四年、あたしは元気に暮らしてるよ。
草太、爺ちゃんとママを頼むね。
あんたが日暮神社の跡をつぐのよ。
大変だろうけど頑張ってね。
あたしはコッチでうちの神社の初代になるから。
そう考えたらストンと納得できた。
ああ、そうか、そうだったのかって。
そうして、あたしは犬夜叉のいる世界に戻ってきたの。
三年ぶりに村に戻ってみれば色々なことが少しづつ変化していた。
まずは七宝ちゃん、村の外に修行にいくことが多くなったわ。
いっぱい修行してお父さんのように立派な狐妖怪になるんだって。
つい先日出かけたばかりだから、当分、戻ってこないでしょうね。
でも、何といっても、あたしが、一番、驚かされたのは珊瑚ちゃんよ。
なんと三年間で三児の母になってたの。
凄いわ、もう吃驚(びっくり)仰天よ。
双子の女の子と生まれたばかりの男の子。
かわいかったわよお。
それが今やお転婆なお姉ちゃん達と泣き虫な坊やに成長。
あっ、でも、珊瑚ちゃんのお腹が大きいから、そろそろ四人目が産まれるんじゃないかしら。
凄いわ、弥勒様。
この調子だと、まだまだ増えそうよね。
夫婦仲はいいみたい。
弥勒さまが浮気しなければ・・・ね。
それから珊瑚ちゃんの弟の琥珀くん。
彼は強い退治屋になるため修行の旅にでてるんですって。
猫又の雲母(きらら)が一緒だから安心ね。
ちっとも帰ってこないって珊瑚ちゃんがぼやいてたわ。
11歳だった琥珀くんも今じゃ18歳。
現代だったら高校生か大学生よね。
でも、戦国時代のコッチじゃ立派な大人の仲間入りだわ。
会うたびに大きくなって今じゃ完全に見上げるほどなの。
もしかすると犬夜叉よりも大きいかも???
※⑦に続く