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山茶花



太陽暦の10月半ば過ぎは陰暦では九月に入ったばかりの頃にあたる。
夏の日差しはとおの昔に消え去り秋特有の青空に澄んだ大気が心地よい。
朝晩は少し肌寒いくらいの陽気になる。
りんが楓に引き取られてから初めての年の秋のことである。
朝餉(あさげ)を済ませたりんは楓と共に薬草摘みにきていた。
冬がきて雪がつもれば薬草が枯れてしまう。
そうなる前に摘めるだけ摘んで干しておかねばならない。
楓の指示のもと、りんはセッセと薬草を摘む。
そんなりんの目に鮮やかな花が映り込んだ。
ひと際、目をひく赤い花だった。
秋になるに従い、めっきり花を目にすることが少なくなっていた。
だからだろう、嬉しそうにりんが楓に話しかけた。

りん:「楓さま、あれ見て。椿の花が咲いているよ」

楓:「んっ、どれどれ」

りんの指さすままに老女が目を向ける。
刀の鍔を眼帯にした隻眼の巫女、りんの養い親の楓である。
一つきりの目が赤い花をとらえた。
濃い緑色の葉に紅が鮮やかに冴(さ)えて美しい。
中々に風情がある花である。

楓:「りん、あれはな、椿ではない。山茶花(さざんか)だ」

りん:「椿じゃないの?」

楓:「うむ、良く似ているが、椿は春の始めころに咲く。だから木に春と書いて『椿(つばき)』。今時分に咲くのは山に茶に花と書いてな、(さざんか)と読むのだ」

りん:「ふ~~ん、そうなの、知らなかった」

楓:「それとな椿は花ごとポックリ落ちて散る。それに比べ山茶花は花びらが一枚づつ散っていくという違いがある」

りん:「よく似た花なのに随分と違うんだね」

楓:「りん、籠の中の薬草は?」

巫女姿の老女がりんの籠をのぞきこむ。

楓:「おお、大分、いっぱいになったな。よしよし、では、そろそろ帰るとしよう。ああ、りん、山茶花を二・三本ほど手折ってきておくれ」

りん:「どこかに飾るの?」

楓:「墓に手向けようと思ってね」

りん:「墓って誰の?」

楓:「私のお姉さまにね」

りん:「楓さま、お姉さまがいたの?」

楓:「ああ、遠い昔に死んでしまったが、とても綺麗で強い巫女様だったのだよ」

りん:「楓さまよりも強いの?」

楓:「勿論、桔梗姉さまは、あの犬夜叉でも勝てなかった御人だからね」

りん:「ええっ、犬夜叉さまよりも強いの? 凄~~いっ! じゃあ、殺生丸さまと同じくらい強いの?」

楓:「はて、あの御仁(ごじん)は人外だからな。同列にはできんだろう。だが、当時、桔梗お姉さまほど霊力の強い巫女は他におらなんだことだけは確かじゃ」

りん:「そうなの、あれ? 昔、助けてくれた巫女さまも桔梗って呼ばれてたけど」

楓:「なっ、何とっ! りん、お前、桔梗お姉さまに逢ったことがあるのか?」

りん:「えっ、でも楓さまのお姉さまって、ずっと昔に亡くなったんでしょ?」

楓:「確かに桔梗お姉さまは昔に亡くなられた。だが、鬼女、裏陶(うらすえ)がお姉さまの墓を発(あば)いて霊骨を奪い無理矢理この世へ蘇らせたのだ。それ以来、お姉さまは『死人(」しびと)』として彷徨(さまよ)っておられた。宿敵である奈落を滅せんとしてな。恐らくりんはその頃のお姉さまに逢ったのだろう」

りん:「じゃあ、奈落は滅されたから、今はもう安らかに眠っておられるよね」

楓:「ああ・・・そうだな」

りん:「楓さま、早く帰ってお墓に参ろう。りん、あの時の御礼をいわなくっちゃ」

老女と幼女は連れ立って村へ帰る。
その手には赤い山茶花と薬草籠。
山茶花の赤い花弁は巫女の袴を思い起こさせる。
楓の脳裏に懐かしい面影が甦った。
美しく気高かった姉、桔梗の顔が。
以前は悲壮な決意に満ちていた姉の顔が今は穏やかさにつつまれている。
楓の中の姉の記憶も、ようやく浄化されたようだった。   了











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ある秋の日に


※この画像はアニメ『犬夜叉』よりお借りしてます。

短小矮躯(たんしょうわいく)の妖怪が背に大荷物を背負いえっちらおっちらと歩いている。
何故、妖怪かというと肌の色がカエルのような緑色なのだ。
人間にあるまじき色である。
おまけに目は出目金、鼻は低く鳥のような嘴(くちばし)という怪異な容貌である。
その癖、水干を着込み頭にはチョコンと烏帽子をかぶるという畏(かしこ)まった容儀。
恰好だけなら何処ぞの家中の家来のようにも見える。
小妖怪はいわずと知れた殺生丸の従者、邪見である。
主である殺生丸は従者の苦境など一切顧みずサッサと前を歩いていく。

(くくぅ~~っ、おっ・・重い!)

(阿吽に・・くくりり付けておった時は・・よかったんじゃが・・・)

(村に・・行くまでは・・わっ・・儂が・・背負わねば・・ならん・・ことを・・考えて・・おらんかったっ!)

(あれも・・これも・・と詰め・・込むんじゃ・・なかったっ!)

(くぅ~~っ、ふっ・・不覚っ!)

邪見は己(おのれ)の見通しの甘さを後悔していた。
栗に山芋、柿に山葡萄などりんへの土産(みやげ)を詰め込んだはいいが、己の膂力(りょりょく)を忘れていたことを。
双頭の龍、阿吽(あうん)は村人を驚かせないよう村外れの林に繋がれている。
従って村までは邪見が運ばねばならぬのだ。

殺生丸に運ばせろ?

とんでもないっ!

荷物は従者が運ぶものである。

ヨタッ、ヨタッ、ヨチヨチッ、ヨタッ、フラッ、フラフラ~~
見るからに覚束ない足元である。
邪見の小さな躰(からだ)に荷物が重くのしかかる。

(くぅ~~っ、むっ、村まで・・もう少しじゃっ!)

(がっ、頑張れ・・儂っ!)

(負けるな、儂っ!)

(うぐぅ~~~っ!)



林を抜ければ急に目の前が開けた。
見上げれば赤紫色の実が鈴なりに生っている。
あけびの実だ。
秋に実る山の幸である。
種は多いが半透明の実の中にはまったりと甘い果肉がある。
この時代には乏しい甘味を味わえる。
柿と同じく貴重な果物である。
村人にも馴染み深い果物である。
勿論、りんの大好物でもある。
それを見た殺生丸が何を思ったのか、フワリと軽く飛び上がりスッと繊手(せんしゅ)を一閃(いっせん)した。
一瞬の後、大量のアケビが蔓(つる)ごと頭上から落下してきた。

ドサドサーーーーー

うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

邪見はアケビに埋め尽くされバタンと気絶した。

・・キュウゥ~

その後、邪見は妖怪退治の帰り道の犬夜叉と弥勒に発見された。
犬夜叉は例のごとく片手に米俵を一俵(いっぴょう)かついでいる。
 
弥勒:「おや、これはこれは随分と大量のアケビですな」

犬夜叉:「あん? おい、邪見、おめえ、なんでこんなとこに転がってるんだ?」

弥勒:「どうやら気絶しているようです。犬夜叉、お前、村まで運んでやりなさい」

犬夜叉:「チッ、しようがねえなぁ」

邪見は荷物とアケビの蔓ごと犬夜叉にかつがれ楓の家まで運ばれた。
当然のごとくアケビの実は村の衆、全員に振舞われたそうである。

(了)





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餅つき(弥勒視点)②


※この画像はアニメ「犬夜叉」からお借りしてます。

餅つきが始まった。
弥勒は珊瑚とともに活気あふれるその様子を感慨深く眺めていた。
昨年、奈落のせいで村は大きな損害をこうむった。
田畑は荒らされ瘴気によって焼け落ちた家も多かった。
とはいえ人命がひとりも損なわれなかったのは幸いだった。
失った家屋はまた建て直せばいい。
だが人の命はそうはいかない。
失われれば二度と戻らないのだから。


『奈落殲滅』という父祖三代にわたる長年の宿願をはたした私は珊瑚と共に村に住みつくことにした。
勿論、犬夜叉も一緒だ。
それに七宝と雲母(きらら)もいる。
三人と二匹、中々の大所帯だ。
楓さまに何もかもおんぶに抱っこする訳にはいかん。
御足(おあし=お金)を稼がねばならん。
となると、やはり、あれだな、妖怪退治だ。
犬夜叉と珊瑚がいれば文字通り『鬼に金棒』。
三人であちこちを巡って稼ぎまくった。
村の立て直し資金もできた。
それを使って家々を直し田畑も元に戻した。


今年、いや年があらたまったので昨年だな。
大きな戦乱もなく天候も順調な年だった。
おかげで作物の出来もよかった。
それで村では無事に年を越せたことを祝って餅をつき神仏に供えることになった。
明け方から村の衆が総出で準備にとりかかっていた。
もうもうと上がる蒸気、糯米(もちごめ)を蒸す匂いが周囲に満ちる。
なんとも食欲をそそる匂いだ。
男も女も老いも若きも皆、目を輝かせ『餅つき』に見惚(みと)れている。
私の傍らにいる珊瑚も嬉しそうに眺めている。
珊瑚の腹はふっくらと膨(ふく)らんでいる。
私と珊瑚の子供だ。
産み月は近い。
以前はどんなに憧れても手に入れることはできまいと諦めていた望み。
今はその全てがこの手の中にある。
平安、愛しい妻、生まれてくる我が子。
(心から感謝いたします)
弥勒は溢れんばかりの喜びとともに神仏に祈った。  了



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餅つき(楓視点)①



新年を迎えるにあたり餅つきが行われた。
村の衆、特に若い男衆が杵(きね)と臼(うす)で餅をつく。
女子衆(おなごしゅう)は糯米(もちごめ)を蒸す。
今年、いや年が明けたから旧年は戦(いくさ)もなく天候不順もなかった。
おかげで多少の蓄(たくわ)えができた。
よって感謝の念をこめ神さまにお供えしようと村人総出で餅をついているのだ。
勿論、お供えした後の餅の残りは村の衆にふるまわれる。
滅多に食べられない御馳走の餅に村人の誰もが大興奮している。
餅をつく杵(きね)と合いの手で水をつける音があたりに響く。
 
ペッタン ペッタン パシッ ペッタン ペッタン パシッ

りん:「わあっ、凄いね、楓さま」

楓:「おや、りんは餅つきを見たことがないのかい?」

りん:「うっ、うん・・・」

口籠(ごも)るりんを見て楓は邪見から聞いたりんの境遇を思い出した。
(ああ、そうか、そうだったな)
(村の行事に呼ばれることもなく身をすくめるようにして生きていたのだろうな)
りんの家族は野盗に襲われ皆殺された。
唯ひとり生き残ったりんは村の厄介者として、それは酷い扱いを受けていたという。
楓は少し癖のあるりんの艶やかな黒髪の頭を優しく撫でた。
(りん、ここには誰もお前を虐める者はおらん)
(今まで辛かった分、幸せになるんじゃぞ)
(もっとも、お前を虐めるような度胸のある奴は出てこんじゃろうが)
りんを守護する白銀の大妖怪、殺生丸を思い浮かべ楓は薄く笑った。
実際にはりんを擁護するのは殺生丸だけではない。
今では村に居ついた犬夜叉に弥勒・珊瑚夫婦も事あれば必ずりんを擁護するだろう。
楓も、当然、その中に入る。
餅つきの熱気に興奮しながら真剣に見入るりん。
幼い預かり仔を慈愛に満ちた目で眺めつつ老いた巫女は心の中で祈りを捧げた。
(今年も良い年になりますように)  
                  了



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閉じた井戸


※この画像はアニメ「犬夜叉」からお借りしてます。

「駄目だ、やっぱり匂いがしねえ」

そう呟くと犬夜叉はゴロリと井戸の底に寝そべった。
文字通りの大の字だ。
かごめの国との通路が閉ざされて以来、かごめの匂いは日ごとに薄まり、もう微かな残り香さえ残っていない。
犬夜叉はそのまま目をつむり逢いたい人へと思いをはせた。
あの日、四魂の玉を消滅させた日に犬夜叉はかごめと別れた。
いや、無理矢理、別れさせられた。
かごめを心配する家族の下(もと)に送り届け、ホッとした瞬間、犬夜叉はこちらに引き戻されていたのだ。

「何故、こんなことになったんだ?」

犬夜叉は無い知恵を絞って必死に考える。
直感タイプの犬夜叉は勘を働かせるのは得意だが、こういう緻密な思考を要する考え事は頗(すこぶ)る苦手である。
出来るなら頭がいい弥勒あたりに頼みたいところだが、そうもいかない。
というのも、かごめが無事と知った弥勒と珊瑚は時をおかず、ささやかながら祝言をあげた。
夫婦(めおと)になったのだ。
つまり、今の二人は現代でいうところの新婚さん。
いかに大雑把で無神経な犬夜叉といえども邪魔はできない。
なので眉間に皺(しわ)をよせつつ犬夜叉は必死に考えをめぐらせる。

む~~~っむむむ~~~~~っ

畜生、一体、誰がこんなことを?

あ”~~~~~分らねえっ!

それでも、かごめをこっちに引きずり込んだ力が関係してるだろうってことくらいは俺にだって見当がつく。

まず四魂の玉を消滅させるのに、どうしてもかごめが必要だった。

だから、わざわざ、あっちの世界からかごめをこっちに来させた。

四魂の玉はかごめの腹ん中にあったからな。

そんでもって、たまたま側にいた百足上臈(むかでじょうろう)にかごめを襲わせ四魂の玉を出現させた。

その後はもう説明するまでもないだろう。

四魂の玉に引き寄せられ有象無象の妖怪どもが襲ってきた。

中でも奈落との戦いは熾烈を極めた。

あいつには桔梗との因縁もあるからな。

そして悪戦苦闘の末に奈落を討ち果たしたと思ったら今度はかごめが冥道に呑み込まれて消えちまった。

夢幻の白夜に冥道の力を吸った刀で斬られたせいだ。

それだけじゃない。

骨喰いの井戸まで消えちまった。

ともかく何かとんでもないことが起きてるってことだけは分った。

だから俺は即座に鉄砕牙で冥道斬月破を撃ってかごめを追いかけたんだ。

冥道の中は真っ暗な闇だった。

その闇の中で聞こえてきたのが、かごめの家族の声だ。

声は聞こえるのに姿は見えねえ。

しかも、あっちの世界の骨喰いの井戸も、こっち同様、消えちまったらしい。

こりゃ、ますます、グズグズしてられないと思ったぜ。

そうして走り回ってたら目の前に現れたのが雑魚妖怪どもだ。

雑魚ばっかだからな、わざわざ冥道斬月破を使うまでもない、風の傷で応戦したんだが。

あいつら、一度は打ち砕かれるものの、またぞろ復活しやがった。

どういうこった?

訝(いぶか)しむ俺に奴らは得々と説明してくれたぜ。

今、いるこの場所が四魂の玉の中だってことをな。

そして目の前でかつての巫女、翠子(みどりこ)と妖怪どもが闘う姿を見せられた。

奴らはかごめも翠子と同じ運命にあるとはほざきやがった。

その証拠とばかりに妖怪どもが俺に見せたのが奈落の首だ。

ご丁寧に巨大な蜘蛛の巣の中央にかかっていたぜ。

奴は死んでいるが、かごめとの戦いのために召喚され復活を待っているのだと。

妖怪どもの言い分によると、かごめが四魂の玉に取り込まれた瞬間、奈落も甦り、両者は永遠に戦いを繰り返すんだとよ。

今、思い返しても頭にくる!

ふざけるんじゃねえぞ!

そんなことの為にかごめは生まれてきたんじゃねえ!

かごめは俺に会うために生まれてきてくれたんだ!

俺は必死にかごめに呼びかけた。

するとかごめが俺の呼びかけに答えたんだ。

後は鉄砕牙の導くままに冥道斬月破を撃ってかごめのもとに駆け付けた。

その後はもう言うまでもないな。

四魂の玉は消えた。

ここまではいい。

だが、その後が問題なんだ。

俺とかごめは引き離されちまった。

四魂の玉が消えた以上、もうかごめに用はない。

だから、あっちに帰れってことなんだろうな。

ふざけんなっ!

俺やかごめの気持ちはどうでもいいってのか?

それに弥勒や七宝、珊瑚に楓婆、みんなの気持ちはどうなる?

かごめは帰ってくるのか?

考えはグルグルと巡って最後はお決まりの結論にたどり着く。

『待つしかない』

あの日から俺は、毎日、井戸に潜りつづけている。
かごめの世界への道が閉じちっまった骨喰いの井戸。
一旦は開いた道なんだ。
だったら、もう一度、開いてもおかしくない。
元々、あの井戸は妖怪の死骸を放り込めば、いつの間にか何処(いずこ)へと消滅させるってえ曰(いわ)くつきの代物だったしな。

「今日は通じるようになるんじゃねえか?」

「今日が駄目でも明日なら通じるかもしれない?」

「明日が駄目なら明後日(あさって)はどうだろう?」

毎日がその繰り返しだ。
井戸の中にも風は潜り込んでくる。
雑多な匂いがここら周辺の情況を教えてくれる。
かごめと別れた頃は風が冷たくて冬の気配が濃厚だった。
でも春の兆しはそこかしこに芽生えていた。
そうだ、あの頃は梅が満開だった。
あちこちに梅の匂いが漂っていたんだ。
そんな犬夜叉の気持ちを慰めるかのようにフワッと新しい風が井戸の中に流れ込んできた。
そして一気に澱(よど)んだ空気をかき混ぜていった。
ひらひらと何かが天井から舞い落ちてくる。
桜の花びらだ。


※この画像はアニメ「犬夜叉」からお借りしてます。

ひらりひらひら はらり はらはら

まるで雪のような儚(はかな)い美しさを感じさせる薄紅色の花弁。
季節は春分のおわり頃、清明に入ろうとしている。
風に乗って漂ってきた野山や川の匂いが明らかに変化していた。
犬夜叉の鼻が鋭敏な嗅覚で雑多な匂いに雑じる桜の匂いを嗅ぎ分ける。

(そうか、もう桜が咲く季節になったのか)

はらはらと舞い散る花弁は犬夜叉にかごめとの別離の日々を否応なく突きつける。
もう既にひと月ちかくたつのだと。
あの日以来、犬夜叉は殆(ほと)んど誰にも会おうとしなかった。
否、会いたくなかったのだ。
手負いの獣が巣に潜り込んで傷を癒すように犬夜叉も身を隠し己が傷心を慰めていた。
だが、それも限界に近付いていた。
きっと仲間達が心配して気を揉(も)んでいるだろう。
七宝の泣き顔が目に浮かぶようだ。

「・・・そろそろ顔を出さねえとな」

犬夜叉はやっと井戸から出る決心をした。
かごめのいない日常が始まる。





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巡りくる春



※上の画像はアニメ「犬夜叉」からお借りしています。


ピーーーーーーチチチッ ピチュピチュッ

にぎやかな小鳥の囀(さえず)りが辺りに響く。

「楓さま、ほら見て! 桃の花が咲いてる、菜の花も」

りんが嬉しそうに楓に呼びかけた。
春そのものの景色が広がっている。
奈落が滅して一年、村にまた春が巡ってきた。
あれから弥勒と珊瑚は村に住みつき夫婦となった。
昨年の冬には双子の女の子が生まれている。
琥珀と犬夜叉は珊瑚達と同居している。
奈落の襲撃で壊された家々は建て直したり補修したりでほぼ元通りになった。
村はすっかり落ち着きを取り戻している。

「早いものだな、もう一年たつのか」

楓は春に彩られた村の景色を見つつつぶやいた。

「綺麗だね、楓さま」

「ああ、そうだな、りん」

りんが思い出したかのように疑問を楓にぶつけた。

「ねえ、楓さま、かごめさまはどうして戻ってこないの?」

「うむ、それはわしも気になっておる。が、何があったのか、犬夜叉が頑(がん)として口を開こうとせんのだ。あ奴が話す気にならなければ無理だろうな。何か余程のことがあったのだろう」

「ふ~~ん」

「まあ、ともかく犬夜叉が『かごめは無事だ』といっておる。だから無事なのは確かだろう。おそらく戻ろうにも戻れぬ事情があるのだろうな」

「そっか、でも早く戻ってこれるといいね」

「ああ、そうだな、犬夜叉と七宝のためにもな」

「犬夜叉さまは判るけど七宝?」

「ああ、りんは知らんのだったな。犬夜叉と七宝はな、暇されあれば骨喰いの井戸に潜りこんでおるらしい。あの井戸は前はかごめの国に通じておったからな。今は閉じておるようだが。二人とも何とかしてかごめに逢おうと必死なのだろう」

少し物憂い表情で楓は骨喰いの井戸がある方向に目を向けた。
骨喰いの井戸は今日も何ひとつ変わった様子もなく存在している。
井戸とはいっても水が出る訳ではない。
骨喰いの井戸は妖怪の亡骸(なきがら)を何処(いずこ)かへ消滅させる涸(か)れ井戸、怪しの井戸なのだ。
それがどうしたことか、ある時から異界へと通じるようになり、かごめを連れてきた。
そして、かごめが出現すると同時に犬夜叉は五十年にわたる封印から解放され四魂の玉がかごめの体内から出てきた。
あたかも運命に導かれるかのように、いや、事実、導かれていたのだろうと楓は思う。
でなければ、ああまで見事に物事が運びはしない。
犬夜叉の復活からほどなく姉の桔梗が甦ったこともそうだ。
まるで時期を計っていたかのような出来事だった。
四魂の玉に端を発する複雑に絡まりもつれにもつれた因果の糸。
それを正(ただ)そうとする大いなる力が働いたのだろう。
だからこそ奈落は滅ぼされ四魂の玉は消滅した。
全ては必然だったのだろう。
となると、どうしてかごめは戻ってこない?
戻れないのか?
何故?
この疑問は犬夜叉が戻って以来、ずっと楓の脳裏から消えない。
一体、冥道の中で何があったのだろう?
それを聞かない限り迂闊(うかつ)に判断はできんな。
楓は自分にそう言い聞かせ疑問を心の中にしまい込んだ。
今ではお馴染みとなった大妖と従者の姿が隻眼に映った。
りんが子犬のように大妖に向かって駆けていく。

「殺生丸さま~~~~♪」

春爛漫である。


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拍手を贈ってくださった方々に御礼申し上げます。
有難うございます。emojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemojiemoji
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呪(しゅ)


※この画像は『妖ノ恋』様よりお借りしています。


邪見はいそいそと主の執務室に赴(おもむ)いた。
障子越しに室内に差し込む柔らかな光に白銀の髪がきらめく。
白皙の美貌に見事な長身を有する、此処、西国の国主、殺生丸。
邪見の敬愛する主は今日も今日とて麗しい。

「殺生丸さま、お申し付けのりんの小袖が仕上がってまいりましたぞ」

「そうか、早かったな」

「はい、それはもう殺生丸さま直々(じきじき)のお達しとあって織子も縫い子も丹精込めて仕上げたとのこと。ささ、ご覧になってくださいませ」

ウキウキと漆塗りの木箱から小袖を広げて主にお披露目する邪見。
それは石榴(ざくろ)のような赤い生地に兎と雀をあしらった柄行きであった。
いかにも稚(いとけな)い童女に相応しい物である。

「ふっ、りんに似合いそうだな」

「はい、それはもう、帯は常盤(ときわ)色で合わせようかと。他にあれこれと小物も揃えようと思っております。それでですな、殺生丸さま、ひとつ・・・お願いがございまして」

いつも饒舌(じょうぜつ)すぎるほど饒舌な邪見の躊躇(ためらう)うような口ぶりが殺生丸の気を惹(ひ)いた。

「何だ」

「はっ、これからりんに贈る品の全てに『呪(しゅ)』を施して頂きたく」

「『呪(しゅ)』か、何故だ」

「ははっ、どうもりんを見る村の女どもの中に・・・些(いささ)か不穏な気配を感じさせる者がおりまして」

邪見の話に思い当たる節があるのだろう。
殺生丸が微(かす)かに眉をひそめる。

「成る程、あらかじめ策を講じておこうと」

「ははっ、流石は殺生丸さま、お察しの通りにございます。何も起きなければそれでよいのでございますが。まあ、転ばぬ先の杖という奴にございます」

「よかろう」

これ以後、りんが身につける品は勿論のこと、使用する道具の全てに『呪』がほどこされることとなった。
邪見が危惧したことは間もなく現実となった。
不心得者の村の女がりんの小袖を盗み取ったのだ。
だが、その女が小袖を身に纏(まと)った瞬間、『呪』が発動した。
女は村中に響き渡るような絶叫をあげ昏倒(こんとう)した。
身の毛もよだつような怖ろしい幻覚に襲われたのだ。
叫び声に驚き女の家に駆けつけた村人は即座に事の顛末(てんまつ)を了解した。
小袖は村を守る隻眼の巫女の養い仔が『妖怪のお殿様』から贈られた代物である。
つまり、女は盗みを働いたのだ。
その後、女は村八分の扱いをうけた。
元から手癖が悪い女だったので誰も相手にしない。
暫(しば)らくすると姿が見えなくなった。
どこか別の土地へでも出奔したのだろう。
この『小袖盗み』以後、りんの道具に手を出すと『祟(たた)られる』と近隣一帯の噂(うわさ)になった。

巫女の預かり仔に手を出してはならぬ
お宝には勿論のこと
もしも 一度(ひとたび) 手を出せば
二度と戻れぬ人の世には
あれは愛(いと)し仔 妖怪の
犬のお殿様の愛(いと)し仔(ご)ぞ


※【常盤色(ときわいろ)】:松のような緑色




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大雪(だいせつ)に物思う


※この画像は『妖ノ恋』様よりお借りしています。

チラチラと雪が舞う。
灰色の空から音もなく雪が降りしきる。
雪を見るともなく眺めていた殺生丸は追憶の中に眠る父を思い出していた。
殺生丸と犬夜叉の父、闘牙は、こんな風に雪が降る大雪(だいせつ)の頃に亡くなった。
竜骨精との闘いで父は重症を負いながら身籠っていた犬夜叉の母を救わんが為、死地に赴いたのだった。
当時は、何故、父があのような行動を取ったのかが解らなかった。
いや、解りたくもなかったのだ。
あのように脆弱で卑しき存在の人間の女に大妖怪たる父が想いを掛けるなど許せなかった。
愚かというか血迷ったとしか思えなかった。
だが、りんを拾い、共に旅をした。
宿敵の奈落を討ち果たし隻眼の巫女にりんを托した今なら父の心を理解できるような気がする。

「・・・父上」

小さな呟(つぶや)きは舞い散る雪の中に消えた。
意識を眼下の人界に戻す。
白銀一色に染まった世界が眼に飛び込んでくる。
今頃、りんを預けた人里も雪に覆われているだろう。
寒さに凍えていなければよいが・・・
早く荷を届けてやらねば。
菰(こも)に包まれた荷の中身は鹿肉と百合根。
厳しい寒さに負けぬようにと邪見が手配した精のつく食べ物だ。
鹿皮は鞣(なめ)してから届けてやろう。
殺生松は騎乗する双頭の竜、阿吽を急がせた。


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『珊瑚の出産⑯』


※この画像は『妖ノ恋』さまよりお借りしてます。

邪:「殺生丸さま、本当にかごめは何時(いつ)戻ってくるんでしょうな?」

邪見はりんの疑問に重ねるように殺生丸に訊(き)いてみた。
まあ、普段から饒舌(じょうぜつ)な主(あるじ)ではないから答えてもらえるとは思っていなかった。
しかし、今はご機嫌がよろしいのだろう。
即座に答えてくださったのだから。

殺:「戻ってこないというより戻れないのだろう」

り:「どうして戻ってこれないの? 殺生丸さま」

殺:「閉じている」

り:「閉じるって?」

殺:「以前は行き来できたが今は出来ない。恐らく異界に通じる道が閉じているのだろう」

り:「じゃあ、かごめさま、もう戻ってこれないの?」

りんが悲しそうに訊(き)いてくる。
犬夜叉や子狐妖怪の気持ちを思ってのことだろう。
私は諭(さと)すように言葉を重ねた。

殺:「今は閉じている。だが、ある日、通じるようになるかもしれん」

そう、希望がない訳ではないのだ。
すると、またしても邪見が余計な嘴(くちばし)を入れてきた。

邪:「ということは、今日か明日、通じるかもしれんということでしょうか?」

殺:「そうかもしれん。そうでないかもしれん」

邪:「う~~む、分かったような分からんような。何やら禅問答のようですなあ」

邪見め、黙っていればいいものを。
こ奴はいつも賢(さか)しげに口を挟(はさ)んでくる。
全く、何度、痛い目に遭わせても懲りん奴だ。
そうか、また仕置いて欲しいと見える。
ならば遠慮なくいくぞ。
ガシッ!
殺生丸は邪見の頭を鷲掴みにするや否や目にも留まらぬ早業で虚空に放り投げた。
ブンッ!
ビュ------------------------

「ア”レ”エ”ェェェェ~~~~~~~~~~」

あっという間に小さくなる従者の姿。
濁声(だみごえ)の悲鳴も段々小さくなる。

り:「あ、邪見さま、また飛んでっちゃった」

殺:「気にするな。いつもの事だ」

殺生丸は素知らぬ顔で阿吽の手綱を取った。
そのまま村の上空を逍遥する。
村人がそこかしこに散らばり農作業に勤(いそ)しんでいる。
まるで胡麻粒のようだ。
不意に鋭敏な嗅覚が風の中に不快な臭いを捉(とら)えた。
草と土の匂い、それと混じり合う汗の臭い、まだ幼い童(わらべ)どもの匂い。
この匂いはあの時の・・・
眼下に目をやれば豆粒のような男童(おのわらわ)どもがワラワラと集まり此方(こちら)を見上げている。
あ奴らは、以前、りんにチョッカイをかけておった小童(こわっぱ)どもではないか。
殺生丸の脳裏に当時のことが思い浮かぶ。
犬夜叉の帰還後、殺生丸は今後のことを思って隻眼の老巫女にりんを託した。
あの老女ならば決してりんを粗略には扱うまいと思えたから。
だが、どうにもりんの身が気に懸かった殺生丸は、敢(あ)えて西国への出立を遅らせ陰からりんを見守り続けた。
するとどうだろう、或る日、村の小童どもがりんに嫌がらせを始めたのだ。
咄嗟に姿を現し奴らを睨(ね)めつけてやった殺生丸。
その結果、悪戯(いたずら)小僧どもは、やれ腰を抜かすわ、みっともなく小便を漏らすなどと無様(ぶざま)な醜態を曝(さら)したのであった。
フン、だらしがない!
女子(おなご)一人を大勢の男(お)の子が寄って集(たか)って虐めようなどと。
なんという恥知らずな輩だ!
ふむ、良い機会だ。
この際、奴らに釘を刺しておくとしよう。
二度とりんに手を出そうなどと思わぬように。
殺生丸は手綱を引き双頭竜に指示を出した。

「阿吽、下がれ、ゆっくりとな」

※『珊瑚の出産⑰』に続く

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『珊瑚の出産⑮』


※この画像は『妖ノ恋』さまからお借りしてます。

その後、神楽は気を取り戻したんじゃがな。
あ奴、助けてもらった癖に殺生丸さまに一言も礼をいわんのだ。
それどころか、あの失礼な言い種(ぐさ)!(ギリギリ)
『へえ・・・あんたにも情けってもんがあったのかい』じゃぞ。
それどころか殺生丸さまが奴を無視してそのまま立ち去ろうとしたらばな。
呆れたことに『待ちな、何があったのか聞きもしねえのか』と来た。
ええい、無礼者めがっ!(怒)
今、思い出しても腹が立つっ!
じゃが、流石は殺生丸さまじゃ。
即座に『貴様の身の上話になど興味はない』と斬って捨てられてな。
ふん、神楽め、思い知ったか、身の程しらずが。
大体、殺生丸さまが貴様如き賤(しず)の女(め)に興味をもたれるはずがないんじゃ。
すると、神楽の奴、今度は『奈落の心臓をみつけたといってもか!?』と畳み掛けてきよった。
むうぅっ、どこまでもあざとい奴。
あれには流石の殺生丸さまも反応されたわ。
なにせ当時一番の関心事じゃったもんな。
それから神楽の奴、何故、自分がこうなったのかを、やれ奈落の心臓が、妖気の結晶がどうのと自分の推察を交(まじ)えつつ話し始めてな。
新たに登場した御霊丸(ごりょうまる)なる輩(やから)についても喋ってから去っていきおった。


それにしても、あ奴、奈落の手下の癖に肝心のことを何も知らされておらんのな。
本当に信用されとらんかったんじゃな。
結局、奈落に利用されるだけ利用されて最後は殺されたらしい。
ん~~考えてみれば哀れな女じゃのう。
まあ、それはさて置いてじゃ。
わしゃ、あの時の神楽にひと言いたいっ!
殺生丸さまの御前(ごぜん)じゃというのに女子(おなご)が胸乳(むなち)をおっぽりだしたままとは何事じゃ!
全く隠す素振りさえ見せんのじゃぞ!
実にけしからん!
破廉恥にも程がある!
婦女子たる者、少しは慎みをもたんかい!
うぐぐっ、恥知らずめがっ!
何よりりんの教育に悪いではないかっ!(怒)


あんっ、どこで神楽の死を聞いたかじゃと?
それは、ほれ、殺生丸さまが曲霊(まがつひ)追跡の為、わしとりんを置き去りにされたことがあったじゃろうが。
殺生丸さまが奴と戦い爆砕牙を手中にされた後のことじゃ。
曲霊(まがつひ)、あ奴は四魂の玉の中に、長年、宿っておった悪霊じゃ。
ということはじゃ、当然、生身ではない。
犬夜叉の鉄砕牙は勿論、殺生丸さまの爆砕牙でさえ歯が立たん。
この世の者ではないんじゃからな。
となると天生牙でなければ斬れん。
だから、わしとりんは仲良くお留守番じゃった。
ううっ、そうじゃ、置いてきぼりにされたんじゃ~~(泣)。
足手まといだったんじゃ~~(泣)。


それでな、わしらは楓の村に逗留することになった。
何故、そこに?と思うじゃろ。
実はな、曲霊(まがつひ)との戦いの後、わしらと犬夜叉達は楓の村に場所を移しておった。
というのもな、爆砕牙の鞘(さや)を拵(こしら)える必要があったんじゃよ。
闘鬼神のように抜き身で持ち歩く訳にはいかんからな。
それで鞘を作るとなると、勿論、鉄砕牙と天生牙を鍛えた刀々斎しかおらん。
あの老いぼれ刀匠、この時あるを予感しとったらしい。
わざわざ塒(ねぐら)から出て『爆砕牙出現』を見にきたくらいじゃからな。
鞘の材料となる枝も前もって朴仙翁から譲り受けておいたという用意周到ぶりじゃった。
爆砕牙の鞘は天生牙や鉄砕牙と違い白木作りでな。
強力無比な爆砕牙に相応(ふさわ)しく荒々しい雷紋を彫り出した意匠になっておる。
それは見事な物じゃ。
でな、鞘が出来上がると同時に殺生丸さまは曲霊討伐にお出掛けになり、わしとりんは村に取り残されたという訳じゃ。


楓の家での逗留となると、当然、犬夜叉達も一緒じゃ。
さて、そうなるとじゃ、必然的に、毎晩、あ奴らと話をすることになる。
夕餉(ゆうげ)には全員、揃うからな。
まあ、お互い積もる話が山ほどあったからな。
それで双方が知ってることをアレコレ披露し合い、擦(す)り合わせた結果、神楽の死も判明したという訳じゃ。
あっ、琥珀に聞いたんじゃないのか?じゃと。
あ奴はりんと違って寡黙でな。
神楽のことも話そうとはせんかったんじゃ。
犬夜叉達からそれを聞いた時、わしゃ、『ああ、そうだったのか』とスンナリ納得したな。
あの女、妙に諦観しとるようなところがあったからのう。
内心、いつか奈落に殺されると覚悟しとったのかもしれん。


【賤(しず)の女(め)】:身分の卑しい女。

【夕餉(ゆうげ)】:夕飯、晩飯、晩餐のこと。


※『珊瑚の出産⑯』に続く

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