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餅つき(楓視点)①



新年を迎えるにあたり餅つきが行われた。
村の衆、特に若い男衆が杵(きね)と臼(うす)で餅をつく。
女子衆(おなごしゅう)は糯米(もちごめ)を蒸す。
今年、いや年が明けたから旧年は戦(いくさ)もなく天候不順もなかった。
おかげで多少の蓄(たくわ)えができた。
よって感謝の念をこめ神さまにお供えしようと村人総出で餅をついているのだ。
勿論、お供えした後の餅の残りは村の衆にふるまわれる。
滅多に食べられない御馳走の餅に村人の誰もが大興奮している。
餅をつく杵(きね)と合いの手で水をつける音があたりに響く。
 
ペッタン ペッタン パシッ ペッタン ペッタン パシッ

りん:「わあっ、凄いね、楓さま」

楓:「おや、りんは餅つきを見たことがないのかい?」

りん:「うっ、うん・・・」

口籠(ごも)るりんを見て楓は邪見から聞いたりんの境遇を思い出した。
(ああ、そうか、そうだったな)
(村の行事に呼ばれることもなく身をすくめるようにして生きていたのだろうな)
りんの家族は野盗に襲われ皆殺された。
唯ひとり生き残ったりんは村の厄介者として、それは酷い扱いを受けていたという。
楓は少し癖のあるりんの艶やかな黒髪の頭を優しく撫でた。
(りん、ここには誰もお前を虐める者はおらん)
(今まで辛かった分、幸せになるんじゃぞ)
(もっとも、お前を虐めるような度胸のある奴は出てこんじゃろうが)
りんを守護する白銀の大妖怪、殺生丸を思い浮かべ楓は薄く笑った。
実際にはりんを擁護するのは殺生丸だけではない。
今では村に居ついた犬夜叉に弥勒・珊瑚夫婦も事あれば必ずりんを擁護するだろう。
楓も、当然、その中に入る。
餅つきの熱気に興奮しながら真剣に見入るりん。
幼い預かり仔を慈愛に満ちた目で眺めつつ老いた巫女は心の中で祈りを捧げた。
(今年も良い年になりますように)  
                  了



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