長の無沙汰のお詫び お久し振りです。 超・超・御無沙汰しておりました。 お詫び申し上げます。 昨年の(8/16)に転倒。 右上腕骨折&肩にヒビという大怪我で入院&手術。 一年近くリハビリを受けてました。 [5回]PR
珊瑚の出産⑫ ※この画像は『妖ノ恋』さまの了解を得て公開しております。 りんの話に邪見は得心した。 前々から不思議だと思ってはいたのだ。 どうして、かごめの姿が見えないのかと。 とはいっても、りんを楓に預けた後、邪見は主に従って西国に赴(おもむ)いた身。 人界にかかずらう余裕など全くなかった。 というか、ある訳がない。 ああ、もう黙っとれん! 口を出させてもらうぞ。 わしはな、殺生丸さまの国主就任に伴うあれやこれやの儀式やら折衝に追われ東奔西走する日々を送っておったんじゃ。 御母堂さまを始めとして西国の重役の方々への挨拶回りとか打ち合わせとか。 本当にもう目が回るような忙しさじゃったわ。 最近、やっと殺生丸さまの身辺が落ち着いてこられてな。 こんな風に、あれこれと詮索、あ、いや、思案する暇ができたのよ。 それでな、ふと気がついたんじゃ。 いつも犬夜叉にひっついとったかごめの姿を見かけん事に。 奈落が滅した後、突如、出現した冥道に呑み込まれたかごめ。 それを救おうと犬夜叉が冥道残月破を撃ち同じように冥道に潜り込んだのまでは覚えておる。 遠巻きに眺めておったからな。 ああっ? 断じて巻き添えにならんよう避難しとった訳ではないぞ。 わしゃ、阿吽を村外れに連れてっとったんじゃ。 何でかって? あのな、村人が阿吽を見たら怖がるじゃろうが。 双頭の竜なんぞ見たこともない奴らばっかりじゃろうし。 まあいい、話を続けるぞ。 その後、犬夜叉とかごめがどうなったかは知らん。 わしとりんは殺生丸さまに従い、一旦、村から離れたからな。 そして三日後、再度、村を訪れた。 その時には消失したはずの骨喰いの井戸が元通りになっておったな。 あれには驚いた。 一体、どういう絡繰(からくり)かと訝(いぶか)しんだもんじゃ。 どもかく、犬夜叉は、あの胡散臭い井戸を通って村に戻ってきたらしい。 しかし、あの時はそれどころではなかった。 突然、殺生丸さまが、りんを楓に預けると仰(おお)せられてな。 わしゃ吃驚(びっくり)しとったんじゃ。 りんはりんで驚きつつも直ぐさま殺生丸さまに泣いて嫌だと訴えてな。 それは、もう大変だった。 あ~~ちょっとした愁嘆場じゃったな。 そりゃまあ、りんを手放すなんて殺生丸さまもよくよく思案なされた上での事じゃろうとは思う。 あんなにりんを大事にしておられたんじゃからな。 じゃが、りんにしてみれば殺生丸さまから見捨てられるようなもんじゃ。 そうそう簡単に納得はできんじゃろう。 思い返せば、殺生丸さまがりんを拾われた時、わしは単なる気紛れだと思うておった。 どうせ、その内、どこぞの村にでも捨て置かれるであろうとな。 ところがどっこい。 捨てるどころか、何度、りんが攫(さら)われようがキッチリしっかり取り戻してこられるわ。 世話こそわしに丸投げじゃが衣食住に不自由せぬようさり気なく配慮されるわと。 これまでの殺生丸さまからは考えられんくらい大事にされてのう。 御母堂さまにも訊かれたことがあるんじゃが、冗談抜きにりんは殺生丸さまの掌中の玉と云うてよかろう。 くうっ、従者のわしなんぞより、りんの方がよっぽど大切にされておったわい(涙)。 うっ、済まん、ちと取り乱してしもうた。 とっ、ともかくじゃ、殺生丸さまの話はりんにして見れば寝耳に水。 泣いて嫌だとごねるのも当然。 どうなることかとわしは案じておった。 するとな、信じられんことが起きたんじゃ。 殺生丸さまが、あの誰よりも誇り高き御方が、御母堂さまにさえ頭を下げられん御方が! りんの前に膝を折られてな。 必ず逢いに来ると約束されたんじゃ。 もう驚愕を通り越して驚天動地(きょうてんどうち)じゃ。 わしゃ、もう、心底、魂消(たまげ)たぞ! ※殺生丸がりんを楓に預ける件(くだり)は当サイトの第58作『決断』をご覧ください。 ※『珊瑚の出産⑬』に続く。 [8回]
ご無沙汰してます あ~~すっかり放置が定番になって申し訳ありません。 プライベートの関係で色々とありまして。 放置中に拍手を贈ってくださった心優しい方々に感謝いたします。 この後、『珊瑚の出産』の新作を出します。 もう少しだけお待ちください。 [11回]
珊瑚の出産⑪ ※この画像は『妖ノ恋』さまの了解を得て公開しております。 「殺生丸さまああああああああああぁあぁあぁあ」 けたたましい声が殺生丸の思索を断ち切った。 鬱陶しいダミ声が辺り一面に響き亘(わた)ってくる。 この声は・・・ 眼下に目をやれば緑色の小妖怪が此処ぞとばかりに人頭杖を振りかざしつつ己の名を叫んでいるではないか。 矮小(わいしょう)な体躯の癖に声だけは矢鱈(やたら)とでかい邪見。 何とも騒々しい従者である。 だが、りんは喜んで声をかける。 りん:「邪見さま、良かったあ。生きてたんだね」 邪:「馬鹿者、当たり前じゃっ!」 殺生丸は素早く邪見の形(なり)から状況を見て取る。 従者のお仕着せ、海老茶の水干と烏帽子(えぼし)はボロボロの枯葉まみれになっていた。 かなり酷い目にあったようである。 とはいえこれだけ大きな声で喚けるのだ。 心配は無用だろう。 この小者(こもの)は妖力こそ大してないが昔から頗(すこぶ)る丈夫で長持ちなのが長所である。 その証拠に殴る蹴る踏みつける石をぶつけるなど思いつくままに仕置をしてきたが殆んど寝込んだり死んだ例(ためし)がない。 だからこそ、長年、己に仕えることが出来たといってもいい。 もう暫(しば)し、りんとの水入らずを楽しもうと思っていたが・・・ 仕方がない。 拾い上げてやるか。 殺生丸:「阿吽、奴を引き上げろ」 ブルル~~ッ 双頭竜が承知とばかりに低く嘶(いなな)き降下する。 阿が従者をパクッと咥(くわ)え込み上昇する。 双頭竜の片割れに襟首を咥えられたままプラプラと宙に浮かぶ邪見。 邪:「こっ、こりゃっ、阿吽!何をするっ!?ちゃんと乗せんかっ!」 ギャイギャイと喚(わめ)く小妖怪が煩(うるさ)くなったのだろう。 阿が後方に向けて邪見をポイと放り投げた。 邪:「わわっ、どわああああああぁあぁあ」 放物線を描き双頭竜の尻尾あたりに落ちる邪見。 そこでハッシと阿吽の尻尾を掴み必死に鞍までズリズリと這(は)いあがってくる。 片手に人頭杖を持ちながらである。 中々に器用だ。 落ちたら命がない。 流石に死に物狂いである。 吐く息が荒い。 ゼッゼッ・・ハッ・ハッ・・ 邪:「ひっ、ひいぃ~~っ、死っ、死ぬかと思ったわ」 りん:「でも、死んでないんだから凄いね、邪見さま」 邪:「だあ~~~~~~~~~~っ」 殺生丸:「煩い、黙れ」 邪:「ははっ!」 殺生丸に窘(たしな)められピタリと口を閉じる邪見。 しかし、下界に目をやった途端、又もや喋りだした。 どこまでも懲りないというか、何かあると喋らずにいられない性分である。 その何かは紅葉にも負けないほど鮮やかな真紅の童水干を身に纏う半妖の男。 云わずと知れた主の異母弟、犬夜叉である。 邪:「ややっ、殺生丸さま、ご覧ください。犬夜叉めが骨喰いの井戸に入っていきますぞ。何故あんな胡散臭い場所に?」 殺生丸:「・・・」 りん:「あのね、邪見さま、かごめさま、骨喰いの井戸を通ってこっちと御自分の国を行き来してたんだって。だから、犬夜叉さま、あの井戸に潜って試してるんだと思う」 邪:「試すって、かごめの国へ行こうとしてか?」 りん:「うん、前は犬夜叉さまも井戸を通ってあっちへ行けたそうなの」 邪:「前はって、今は出来んのか?」 りん:「井戸が閉じちゃったみたいなの」 邪:「ふ~~む、面妖な話じゃのう」 ※『珊瑚の出産⑫』に続く。 [7回]
珊瑚の出産⑩ ※この画像は『妖ノ恋』さまの了解を得て公開しております。 『骨喰いの井戸』、妖怪の死骸を放り込んでおけば何処(いずこ)ともなく消滅せしめるという怪(あや)しの井戸。 死骸が消滅するということは異界に通じていると考えていいだろう。 フン、実に胡散臭い場所だ。 私には関係ない事だと無視していたが・・・ 確かに、あの場所は異様な匂いを発していた。 あれは私でさえ嗅いだことのない奇妙な匂いだった。 死人特有の骨と墓土の匂いでもない。 いうならば別の世界の匂い。 さしずめ『異界の匂い』とでもいうべきだろうか。 そういえば、あの女、かごめとやらの匂いもそうだった。 女の匂い自体は悪くなかった。 だが、女が身に纏(まと)う着物の匂いは余りにも異質だった。 匂いばかりではない。 あの女は見たこともない奇妙奇天烈な形(なり)をしていた。 女の身でありながら足を太腿まで顕(あら)わにする破天荒さ。 しかも、それを恥とも思っていないらしい。 慎(つつし)みの欠片もない破廉恥女。 加えて面と向かって私を侮辱する向こう見ずな気質。 何もかもが癇に障(さわ)る女だった。 だからだろう。 私は無意識にあの女を忌避(きひ)し排除しようとした。 未知なる匂いを纏う得体の知れない存在。 井戸が復活してからというもの、あの場所から犬夜叉の臭いが途切れたことはない。 村を訪問するたびに奴の臭いが新たについていた。 ということは・・・間違いない。 犬夜叉め、あ奴、三日に一度は井戸に潜り込んでおるな。 ああ、それと、いつも奴のまわりをウロチョロしている脆弱(ぜいじゃく)な仔狐妖怪、あ奴の臭いも近くに付着していた。 匂いの濃度からして、あの者も犬夜叉に負けず劣らずの頻度で井戸の周辺をうろついているようだ。 両名そろって健気(けなげ)なことよ。 しかし、見込みは殆んどあるまい。 何故なら井戸から異界の匂いが完全に消え失せている。 つまり異界と通じる道自体が閉じているのだろう。 犬夜叉も半妖とはいえ犬妖の端くれ。 私ほどではないが鼻が利(き)く。 だから、当然、奴にも分かっているはずだ。 異界の匂いがピクリともせぬ以上、どれだけ井戸に潜り込もうが無駄な足掻きだと。 それでも諦められぬのであろうな。 逢いたくて逢いたくて・・・ 焦がれ焦がれて・・・ 実(げ)に恋とは怖ろしきものよ。 ※『珊瑚に出産⑪』に続く。 [3回]
唯今、苦戦中! ※この画像は『妖ノ恋』さまの了解を得て公開しております。 新年も松の内を過ぎました。 遅くなりましたが本年もどうぞ宜しく 拍手を贈って下さった方々に感謝いたします。 唯今、新作作成に苦戦しております。 もう少々お待ちくださいませ。 [3回]
珊瑚の出産⑨ ※この画像は『妖ノ恋』さまの了解を得て公開しております。 犬夜叉の女、かごめとやらいう『巫女の失踪』。 それは殺生丸にも大いなる疑問だった。 奈落の仕掛けた罠により冥道に呑み込まれ消えた巫女。 それと同時に骨喰いの井戸なるものも消滅した。 何とも面妖なる出来事であった。 直(ただ)ちに犬夜叉が冥道残月破を放ち奴が冥道に入って巫女を追いかけたが。 よくよく考えてみれば奴は私と同じことをした訳だ。 冥界の犬に攫(さら)われたりんを私が躊躇せず追いかけたように奴も迷わず巫女を追った。 フッ、やはり我らは父を同じくする兄弟。 血は争えんということか。 その後、冥界で奴らに何が起きたのかは知らん。 我らには手の出しようもない異界での事。 それでも三日目に何やら異変が生じたことは臭いで察知できた。 というより唐突に臭いが元に戻ったのだ。 村に来てみれば井戸が忽然と元の場所に出現していた。 犬夜叉の姿は見えなかったが井戸の周辺には奴の臭いがしっかりと残っていた。 だが、巫女の匂いはなかった。 詰まる所、奴は井戸を通って戻りはしたが巫女は連れ戻せなかったということになる。 その後、りんを老巫女に託し私は西国へ帰還した。 そして亡き父の跡を継ぎ長らく空位にしていた国主の座についた。 身辺の状況が著しく変わり奴と巫女のことを気にする暇もなかったのだが。 りんに逢う為、三日おきに村を訪ねるので自然とその後の状況を知ることとなった。 というより訊ねもしないのにりんが勝手に話してくるのだ。 骨喰いの井戸から出てきた犬夜叉は「かごめは無事だ」とだけ発したという。 それから察するに犬夜叉は奈落の罠から巫女を助けることは出来たらしい。 だが、巫女を連れ帰ることは出来なかったようだ。 その後、奴はその件については堅く口を閉ざし誰にも話そうとはしないらしい。 話したくないのであろうな、己(おのれ)の失態など。 ※『珊瑚の出産⑩』に続く。 [4回]
珊瑚の出産⑧ 阿吽に跨(またが)り殺生丸とりんは悠々と空を逍遥(しょうよう)する。 眼下には素晴らしい眺めが広がっている。 今が盛りの紅葉は錦の如く山野を飾り鄙(ひな)びた里を雅(みやび)に彩る。 まるで豪華な金糸銀糸で縫い取った紅の巻物を広げたかのような艶(あで)やかさだ。 この時代、いや遥か後の世まで人は殆んど一生を地べたに這(は)いつくばって生きるのが常。 そんな庶民は勿論のこと、大名や貴族でさえ及びもつかない高さから見下ろす絶景である。 最高の贅沢といっても過言ではない。 りん:「綺麗だね~~殺生丸さま」 殺生丸:「・・・」 りんがはしゃいで話しかける。 しかし普段から無口な大妖は黙して語らない。 とはいえ、それはいつものことなので大して気にもせずりんは喋り続ける。 りん:「邪見さま、どこらへんに落っこちたのかなあ?」 キョロキョロと下を覗(のぞ)いて緑色の小妖怪を捜す幼女。 余りにも身を乗り出すので今にも落ちそうだ。 粗忽者(そこつもの)の従者のせいでりんが落ちては堪(たま)ったものではない。 殺生丸は渋々ながら双頭竜に指示を出した。 殺生丸:「阿吽・・・高度を下げて邪見を捜せ」 ブルッ ブルル~~ッ 承知とばかりに阿と吽が低く嘶(いなな)く。 人が胡麻粒のようにしか見えない高さから徐々に高度を落としていく。 りんに負担をかけないよう、ゆるやかな螺旋を描くように空中を滑らかに降りる双頭竜。 急激に降下すると脆弱な人の身であるりんは耳鳴りをおこすのだ。 上空三十間(大体50mくらい、間《けん》=約1.818m)あたりの高さでひとまず停止。 そのままの高度を維持しつつジックリと周辺を見て回る。 これくらいの高さならりんの肉眼でも下の様子がよく分かる。 りん:「あっ、犬夜叉さまが!」 幼女の指さす方を見れば鮮明な紅の童水干が目に入ってきた。 確かに不肖の異母弟だ。 懐手(ふところで)の思案顔で歩いている。 犬夜叉が向かう先、それは恐らくあの場所だろう。 奴の匂いが濃厚に臭う、あの因縁の場所。 りん:「骨喰いの井戸にむかってるみたい」 殺生丸:「・・・」 りんが殺生丸を振り返り少し心配そうに訊(き)いてきた。 りん:「ねえ、殺生丸さま、かごめさま、戻ってくるよね?」 殺生丸:「・・・」 りん:「楓さまに聞いても難しい顔して『分からん』っておっしゃるの。法師さまもそう。七宝に訊いたら泣きそうな顔で『知らん!』って逃げちゃうし。かごめさま、どうして戻ってこないのかなあ?それとも戻ってこれないのかな?」 ※『珊瑚の出産⑨に続く。 [4回]
今年最後のご挨拶 今年も残すところ後わずかとなりました。 最後のご挨拶に参りました。 いつも有難うございます。 『珊瑚の出産⑦』を新年早々に予約しております。 お待たせして申し訳ございません。 唯今、風邪をひき鼻水と突発的な咳に苦しんでます。 皆さまもお気をつけくださいませ。 では、良いお年を 新年もどうぞ宜しくお願い致します。 [2回]