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第八作目『邪見の道中日記』

ハア~~~(溜め息) フウ~~~(又しても溜め息)。
先程から邪見がもらしているのは溜め息。
気難しい主に仕えて百うん十年。 
その間に何度、蹴られ、踏まれ、水に沈められ、石をぶつけらられてきた事か!
もう数える気にもならんくらいじゃ。
とにかく、我が主、殺生丸様ときたら生まれた時から乳母日傘(おんばひがさ)の、お坊ちゃま育ちで、我が儘な事この上ない。
おかげで仕える者達の苦労といったら、そりゃあ、もう大変なものじゃった。
何しろ育ちが育ちな上に、容姿、才能、体力、どれ一つ取っても、誰にも引けを取った事が無い御仁じゃから、自負心の塊みたいな御方なんじゃ。
そんな御方が、半妖の異母弟、犬夜叉如きに左腕を斬り落とされたんじゃから、その屈辱たるやどれ程のものか想像に難(かた)くないじゃろう。
暫くは、代わりになる腕を捜し求めて、そこら中の妖怪どもを殺しては、左腕をもぎ取り挿(す)げ替えては試しておられた。 
そんな時に、あの喰わせ者の奈落に出会われたんじゃ。
四魂の欠片を仕込んだ人間の腕と最猛勝とかいう毒虫の巣を手渡され、再度、犬夜叉の持つ父君の形見の宝刀、鉄砕牙を奪いに出向かれたんじゃが・・・。
犬夜叉め、捨て身の攻撃で鉄砕牙を取り戻しよった。 
フン、運の良い奴じゃ!
完全な妖怪である殺生丸様が、鉄砕牙の結界に阻まれる以上、諦めるしかないんじゃが・・・。
とにかく執念深い御方なんじゃ。 
中々、諦めるという事をしらない。
何しろ、二百年も鉄砕牙を捜し求め、地中を探り続けたんじゃからな。
花咲か爺さんの犬ならぬ、ここ掘れワンワンかの? 
あっ、いや、これは失言。
(殺生丸様には黙っててくれ・・・・・ばれたら儂の命が危ない!)
どうせ己の物にならないのならと、今度は龍の腕をつけて、鉄砕牙を叩き折りに行かれたんじゃ。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い!ってところかの?
もう少しで鉄砕牙もろ共、犬夜叉を殺す処までいったんじゃが・・・。
又しても土壇場で犬夜叉が風の傷を使いこなし、殺生丸様は返り討ちに遭(あ)ってしまわれたんじゃ。
あの時は、本当に心配したのう。 
犬夜叉にズバーッと斬られ死んでしまわれたんではないか?と。
必死になって捜し当ててみrば、妖鎧は砕け、お召し物は、あちらこちら裂けて、今まで見た事も無いほどの御様子。 
随分、酷い目に遭われたものじゃ。
そのまま帰ろうとした処、殺生丸さまが、何かを嗅ぎ当てられたのか、森の方へ歩いて行かれる。
付いて行けば、其処には、人間の童女が、血溜まりの中に倒れておった。
臭いからして狼に噛み殺されたらしい。 
一旦は、そのまま踵を返そうとなされた殺生丸様じゃが
何と・・・今まで一度も使おうとなさらなかった天生牙を抜いて試し斬りをなさったんじゃ。
その時、息を吹き返したのが、今、阿吽に乗っている、りん、なんじゃな。
あの時、びっくりしたのお~~! 
信じられない物を見た気分じゃったよ。
何てったって、あの殺生丸様じゃぞ! 
唯我独尊、冷酷非情、矜持の塊みたいな御方が・・・。
人間の小娘を助けるなんて、天地がひっくり返っても可笑しくないくらいの出来事じゃからな。
その上、その小娘を拾い上げて、旅の供に加えられたんじゃ!
そこらに放っぽっとくのかと思ったのに・・・。
気紛れな殺生丸様の事、その内、何処ぞに捨て置くのかもしれんと考えておったが一向に、その気配もない。 それどころか・・・りんの世話一切を儂に押し付けてこられたんじゃ。
何で儂が、そんな事をせにゃならんのじゃ~~! 
儂は、殺生丸様の下僕であって小娘の世話係ではありませんぞ~~!と抗議したいところじゃが・・・そんな事をしたら命がいくつ在っても足りんわい。
そんなこんなで毎日、小娘の食事の世話やら何やかや走り回る日々を送っとるんじゃよ。
おかげで殺生丸様と二人で旅をしてた頃に比べると。騒々しい事この上無い。
家族を夜盗に殺されたせいで、りんは、口が利けなくなっていたらしいが、天生牙で生き返ってからは、これまでの分を取り戻すかのように、喋るわ喋るわ。
犬妖である殺生丸様は、当然の事、嗅覚が異常に鋭い。 
例によって何事か嗅ぎ当てられたらしい。
りんと二人、先を争うように、殺生丸様の示された場所まで駆けつけてみれば、怖ろしげな鬼の死体が転がっておるではないか。 
一体、こんな物を、どうなさるお積りか?
どうやら、この鬼の牙を使って、新しい刀を打ち起こさせる気らしい。
それも、旧知の刀工、刀々斎ではなく、刀々斎に破門された弟子の灰刃坊なる者に。
何でも、こ奴、余りにも邪まな刀ばかり打つ為に、師匠から破門されたらしい。
いくら頼み込んでも刀を打ってくれない刀々斎に業を煮やされたのだろうか?
それとも鉄砕牙を砕いた鬼の牙で、刀を打ち起こさせるには、寧(むし)ろ、灰刃坊の方が都合が良いとお考えなのか?
何にしても、えらく物騒な刀が出来そうじゃわい。
そう考えた儂の勘は当たっておった。
その後、打ちあがった刀を引き取りに行ったら灰人坊に斬り殺されたんじゃからな。
もう、ズバーッと、真っ二つに斬られたんじゃ!
あの時は、生きた心地がせなんだわ。 
あっ!そういえば死んどったな・・・儂。
その儂を! 殺生丸様が! 生き返らせて下さったんじゃ!ウウッ・・・・(感涙)
下僕生活、百うん十年。 
あの時ほど、殺生丸様に、お仕えして良かったと思った事はないわい。
例え、蹴られようが、踏まれようが、水責めに遭おうが、石を投げつけられようが・・・。
これからも、この邪見、殺生丸様の往かれる処、何処までも、何処までも、お供しますぞ~~!
阿吽に乗って、灰刃坊と鬼の剣を追って行けば、其処には、半妖の犬夜叉と仲間どもが。
刀々斎までもが揃っとるではないか! 
どうやら、余りにも凄い邪気に、皆、為す術も無く鬼の剣を遠巻きにしとるらしい。 
灰刃坊は、自らが打ち起こした剣、闘鬼神の検圧に耐え切れず身体がバラバラになって死んだらしいわい。 フン、儂を斬り殺した罰じゃ!
闘鬼神を掴もうとする殺生丸様を、刀々斎めが、必死に止めようとする。
それを意にも介さず闘鬼神を手になさる殺生丸様。
何と、あれ程の邪気が、見る見る内に収束していくではないか!
流石は殺生丸様!
闘鬼神を手に入れられた以上、もう、犬夜叉なんぞに負ける筈がない!
事実、後一歩の処まで追い詰めたんじゃが、刀々斎めが、犬夜叉を庇って、火吹きの術を使い辺り一面を火の海にしよった。 
ったく、つくづく命冥加な奴じゃ。
そう言えば、犬夜叉には、ノミの妖怪である冥加が付いておったな・・・道理で。
首尾良く闘鬼神を手中に収められた殺生丸様と共に、りんの許に帰ってみれば、怪しい影が!
瞬時に地を蹴り、闘鬼神で斬撃される殺生丸様。 
現れたのは見た事も無い女。
奈落の分身、風使いの神楽とかいう、胡散臭い奴じゃったわい。
身の程知らずにも殺生丸様を、後ろ盾にしようなどと企て、素っ気無く断られておったな。
殺生丸様が、貴様如き奈落の分身などと、つるむ訳が無かろうが!
あ奴が、その後、りんを攫いおったんじゃ。 
無事に、りんを取り戻したから良かったものの殺生丸様の奈落に対する怒りは、実に、凄まじい物じゃった。
直接、奈落の城に出向き、落とし前を付けようとなさった位じゃからな。
生憎、奈落を殺す事は出来なかったんじゃが、あれで、奴は、殺生丸様を完全に敵に回しおった。
何でも、りんを攫っただけではなく、殺そうとした上に、殺生丸様の完全なる妖怪としての力を取り込もうとしたんじゃからな。 
とんでもない奴じゃ、奈落は!
それ以来、殺生丸様は、奴の行方を追って、しつこく、付け狙っておられるんだな。
元々、執念深い殺生丸様に、喧嘩を売るとは、馬鹿な奴じゃ!
とにかく、売られた喧嘩は、もれなく買われる御方なんじゃよ。
流石に、自分から喧嘩を売りには行かれんがな。
奈落自身は、結界を張ってるせいか、臭いを追う事は困難じゃが、手下の琥珀とかいう小僧の
臭いまでは消せんからのう。
そ奴の臭いを辿って、わざわざ白霊山なんて妖怪にとっては頼まれても寄りたくない場所にまで、やって来たんじゃ。
あの場所は、聖域と呼ばれておっての、邪まな者や妖気を、片っ端から浄化してしまう程の強力な結界が張られておるんじゃ。 
そんな所に邪気の塊のような奈落が潜んどるなんて到底、思えんがのう。 
ウウツ・・・辛い・・・早く帰りたいわい。
そしたら、りんの奴めが、勝手に結界の中に入って、行ってしまったんじゃ!
ウギャァ~~!バチバチッ! 
慌てて止めようとした儂は、危うく浄化される処であった。
戻ってこられた殺生丸様に、事の次第を、お話している内に、りんが戻ってきよった。(ホッ)
何度も言うが、殺生丸様は、化け犬、犬の妖怪じゃ。 
その嗅覚の鋭さと言ったら、凄い物なんじゃ。
戻ってきた、りんに琥珀という小僧の臭いが纏わりついておったんじゃろう。
りんに小僧が居たかと殺生丸さまが問い質された。 
りんが言うには、洞穴の中に妖怪どもがウジャウジャ居て小僧が逃がしてくれたらしい。 
やはり、奈落は、この地に隠れておったのか。
流石に殺生丸様の鼻は、大した物じゃ。 
それにしても、奈落め、一体、どんな手を使って結界の中に入り込んだのやら・・・? 
儂ら妖怪は、とてもじゃないが、聖域のなかには入れん。
殺生丸様でさえ、相当の負担になるじゃろう。 
奴が結界の中から出てくるまで待つしかないのう。
そう考えてたら、奈落の奴め、四魂の欠片で甦らせた亡霊どもを使って襲ってきよった。
蛇のような動きをする刀を使う遊び人風の男と鋭い鉤爪を腕に付けた鬼のような面相の男。
蛇刀の男は、殺生丸様が引き受けてくださったんじゃが。
鉤爪の男の方は、儂とりんが吊り橋を渡ってる時に現れた。 
クウゥ~~此処は、何としても、りんを守らねば!
(りんに何かあったら、儂が、殺生丸様に殺される!)
そう、そうなのじゃっ! 
殺生丸様は、何も仰(おっしゃ)らないが、りんを特別に大事にしておられる。
長年、お仕えしてきた儂の勘が、そう告げるのじゃ。 
でなければ、後一歩で、奈落を殺せるという時にりんを取り戻しになど行かれんわっ!
鉤爪男の攻撃を必死にふせいでみるものの、あ奴は身体もでかく、足場も悪い。
こうなったら、人頭杖の出番じゃ! 
喰らえっ!炎熱攻撃! 
翁の面が大火炎を吐く。
跡形も無く消し飛んだか?と思ったら・・・何と! 彼奴め、生きておるではないか!?
それだけではない! 
人頭杖の火炎にやかれ、橋が、今にも千切れ落ちようとしてるんじゃっ!
アァ~~~~お、落ちるぅ~~~~哀れ、儂らは谷底へまっ逆さまじゃあ~~~~~~~~!
気が付けば、儂は谷底の川原に・・・。 
じゃが、りんは何処じゃ? あの鉤爪男は?
ンムムゥ~~~不味い!不味いぞ! 
こうなったら、もう死んだ振りじゃ!
殺生丸様が谷底に降りて来られた。
 
「邪見、死んだ振りか。」

ギクッ! や、やっぱり、ばれてた!
必死に謝りまくってたら、こちらに構わずドンドン歩いていかれる。
どうやら、りんは、川に流されたらしい。 
水のせいで匂いが消えたんじゃな。
これは、もう、殺生丸様の嗅覚に頼るしかないわい。 
亡霊どもの臭いを追って白霊山の麓へ。
儂を置いて結界の中に向かわれる殺生丸様。 
アァ~~大丈夫かのぉ~~心配じゃあ!
いくら殺生丸様とはいえ、あの結界の中では、いつも通りの動きが出来るとは限らん。
ましてや、今回は、りんを人質に取られとる。 
おまけに相手は死人で、二人もいるんじゃ。
生者ならば人頭杖の攻撃を喰らったら即死じゃが・・・あ奴らは死人(しびと)故、死ななかった。
アレッ? 死人が死ぬって・・・どういう事じゃ? 
アアッ、もう、ややこしや~~~~!
そうやって、どれ位気を揉(も)んでおったかの。 
殺生丸様がりんを連れて戻ってこられたんじゃ。
信じてはおったが、やはり、心配でのぉ~~。 
思わず涙がチョチョ切れたもんだわい。
唯・・・あれ以来、何かが違うんじゃよ。 
何と言ったらいいのかのぉ?
殺生丸様の、りんに対する態度が違うんじゃ。 
今までも危険な場所には余り連れて行こうとはなさらなかったが、白霊山での一件以来、僅かでも危険な場所には絶対に連れて行かれない。
阿吽と共に安全な場所に置いていかれるんじゃ。 
これは過保護という奴かの?
白霊山の結界から出てきた奈落は、以前より、更に手強くなっていた。
死人の巫女を触手で貫き、瘴気の谷間へと落とし、殺したのだ。
オマケに、態度まで、でかくなっとる! 
殺生丸様を呼び捨てにするなど何と恐れ多い!
闘鬼神の攻撃をまともに受けながら、その威力を、そっくりそのまま返してきよった。
再度、闘鬼神の攻撃を受け、身体を斬り刻まれながら、平気な顔をして瘴気の渦とともに何処ともなく消えよった。 
ハア~~何という不気味な奴なんじゃ!
奈落が消えた後に、犬夜叉が駆けつけてきよった。 
死人の巫女が殺された事に、余程、衝撃を受けたのか、犬夜叉め、殺生丸さまに噛み付いてきおった。 
フン、そんなに大事な女なら自分で守らんかい!
この頃、殺生丸様は、お一人で出かけられる事が増えた。 
グスン、儂は、りんと共に留守番じゃ。
花摘みを楽しんでる、りんの所に、神楽が来た事もあったな。 
すぐに帰ったが、あいつ、何しに来たんじゃろ? 
殺生丸様に会いに来たらしいが、りんを攫っといて、何という図々しい奴じゃ。
ンムッ! 殺生丸様が、又も、奈落の気配を感じ取られたらしい。
何やら夥しい血の臭いが・・・。
ゲェッ、巨大な鳥の死体、く、首が無い! 
血の臭いも消えた?! 一体、何があったのか???
オワッ! ま、又しても神楽! 
何なんじゃ? 最近、やたら、殺生丸様のまわりをウロウロチョロチョロしくさって! 
アララ!? 殺生丸様、そいつに聞きたい事があおりなので?
どうやら殺生丸様は、あの世の境に行く道を探しておられたらしい。
神楽に案内され、火の国まで、やってきた殺生丸さまと儂。 
勿論、りんは、阿吽と一緒に留守番じゃ。
前にも言ったと思うが、白霊山での一件より、殺生丸さまは、りんを、危ない場所には、絶対に、連れて行かれない!
よっぽど懲りられたんじゃろうな。 
りんから聞いた処によると殺生丸様でさえ危なかったとか。
今回は儂が、お供する! 
暗い洞窟の中を通り抜け辿り着いたのは、二体の石像が守る門。
この世とあの世の境を繋ぐ門。 
石像の門番は、牛頭と馬頭。 
門を通りたければ、こ奴らに殺されて死者にならねばならん、だと!
冗談でなない! 儂は、まだ死にたくないぞ!
闘鬼神を抜き放ち、石像を破壊する殺生丸様。 
ヒエェ~~こいつら、全然、堪えてない!
どうなさるお積りか? 殺生丸様。
オオッ! 天生牙を抜かれた。
門が、あの世とこの世の境を繋ぐ門が開く。 
門番の石像どもが跪いているではないか。
やはり、殺生丸様! 我が永遠の主! 
この邪見、何処までも何処までも、ついていきますぞ~~~!
父君の巨大な骸のある墓場で犬夜叉と仲間どもが奈落と闘っている。 
何と言う不敬の輩じゃ!
まずは、親不孝な犬夜叉に一発! ドガッ! 
此処で儂は振り落とされた。
次なるは、奈落。 
神聖なる父君の墓を荒らした喰わせ者に対する殺生丸様のお怒りは強い。
静かに怒りを燃やされる殺生丸様。
闘鬼神で奈落を攻撃なさるが、あ奴の結界を破る事が出来ない。
ンムムゥ~~それどころか、奈落め、殺生丸様を挑発して、結界から出した触手を斬らせたんじゃ!
瘴気が、瘴気が、溢れてくるぅ~~~! 
いっ、息ができん~~~!
くっ、苦しいぃ~~! 
殺生丸様は平気じゃろうが、わ、儂らは平気じゃないぃ~~!
奈落が、殺生丸様を、更に挑発しておる! 
やっ、やめんか!
殺生丸様が、儂らを気遣って攻撃をやめる筈がない!
アア~~~やっぱり! 
瘴気が来るぅ~~~~ヒエェェ~~~~!
もう駄目か!と思ったら、犬夜叉の奴めが、宝仙鬼の金剛槍破を会得して、奈落の結界を破ったんじゃ。
金剛槍破を喰らって、最早、結界を張る力も無い奈落。
とどめは、殺生丸様が!
粉々に粉砕される奈落。 
かごめが、奈落の残骸の中で光る四魂の欠片を目掛けて破魔の矢を射る。 
バシッ! カッ! 
眩しい光が奈落の肉塊の残骸を貫く。
ジュッ! バチバチッ!
衝撃波が周囲に走る! 
キ-――――ン 欠片が!
奈落が宝仙鬼から奪った四魂の欠片が、弾かれて、落ちてくる。
奈落の奴は、又しても、何処ぞへと行方を晦ましよったらしいわい。
それにしても・・・あ奴、あそこまで粉々にされながら、何故、死なんのじゃろう?
まっ、まさか・・・彼奴の心臓は、別の場所にあるという事か。 
もしかしたら、いや、きっと、そうに違いない。
でなければ、今までの説明がつかん。 
ンムムゥ~~~~~~!
何と言う厄介な奴なんじゃ! 
当然、殺生丸様も気付いておられるじゃろうのう。
いつものように風を読んでおられた殺生丸様。
 
「来る・・・・・」
 
はあ・・・・・・?
ザア――――ゴオッ! 
神楽! 又しても、お前か! 
何しに来たんじゃ!?
馴れ馴れしく殺生丸様に話しかけおって。 
神楽が、置いていったのは妖気の結晶。
心臓の在りかを隠すために、不妖壁なる妖気を隠す守り石を、最近、奈落が手に入れたとか。
その心臓の在りかを捜す手掛かりにある結晶らしいのだが・・・罠じゃあるまいな。
どうしましょうか? 殺生丸様!? 
へっ・・・お前に任せると仰られても・・・。
そしたら、りんの奴が、持ってた方が良いと抜かしよる。 
その上、神楽は、殺生丸様が好きだなどと・・・ハア~~~餓鬼は単純で良いのう。
儂は頭が痛くなってきたわい。 
りんと旅をするようになって以来、儂の苦労は増えるばかりじゃ!
そう、ストレスで円形脱毛症になりそうなんじゃよ。 
ん? 儂の頭に毛は無いとな!
つまり、それくらい、気苦労が耐えんという喩(たと)えじゃよ! 
洒落よ! 洒落!
冗談でも言わなければ、やっとれんわい! 
りんが何をやらかしてもお咎(とが)め無しなのに・・・。
そのトバッチリは、いつも、いつも、儂に来るんじゃよ。 
何でじゃあぁ~~~~~!
ン! どうされました? 殺生丸様。 
谷川の縁を歩いていた殺生丸様が、何かに気付かれたらしい。
バシャ―――――ン! 
空から何かが、川の中に落ちてきた。
ありゃ、まあ、あれは、神楽ではないか!? 
気を失って流されていきよるわ。
殺生丸様に、どうするか?と、お伺いを立てた処、「放っておけ」との、お言葉。
主の言う事は絶対じゃ。
下僕の鏡のような儂。 
仰る通りにしようとしたらば、りんの奴めが神楽を助けようとするではないか! 
あの女は、お前を攫(さら)った事もある性悪女なんじゃぞ!
ア~~~言わんこっちゃない! 
お前が流されてどうする! 
ええい、世話の焼ける!
人頭杖を差し出して助けようとしたら、バチャ―――――ン!
ア~~レ~~助けて~~~!
儂まで流されてしもうた。 
結局、儂ら全員、殺生丸様に助けて頂く羽目となった。
りんは、ともかく、儂は、でっかいタンコブを頂戴する様(ざま)じゃ、 イタタタ・・・。
それにしても、ひどい有り様じゃの、神楽の奴。 
胸の中心に大きな穴が開いとる。
これでは、とても助からんじゃろう・・・などと思ってたら、ドンドン、穴が塞がっていく。
流石に不気味な奈落の分身だけあるわい。 
意識を取り戻した神楽は、奈落の心臓の在りかを告げると又、羽根に乗って何処ぞへ飛んでいきよった。 
少しは胸を隠さんかい! 端(はした)ない!
神楽に教えられた心臓の在りかの寺に行ってみたら、夥しい妖怪の残骸が!
何があったんじゃ? 
それに、真新しい掘り返された墓の跡。 
ウ~~~ム、判らん???
とにもかくにも、奈落を滅するには、心臓を捜さねばならん。 
神楽がよこした妖気の結晶で確かめながら追うしかないかのう。 
殺生丸様が何かを嗅ぎ当てられたようじゃ。
な、な、何じゃ、あ奴は! あの妖怪は!? 
何と言う不気味な格好をしてるんじゃ!
犬夜叉が、その仲間が、神楽までもが、揃っとるでなないか。
ん?結晶が、妖気が消えとる!
という事は、あの不気味な格好の妖怪が、奈落の心臓という訳か!?
既に犬夜叉達と交戦中らしいわい。 
ここで、殺生丸様が参戦じゃ!
闘鬼神を抜き放ち、一気に攻撃に入られた殺生丸様。 
だが、この魍魎丸とかいう妖怪相手の妖力を喰らって力を高めるらしい。 
まるで奈落のような奴ではないか。 大丈夫かのう?
イヤイヤ、いかん、何があろうとも儂は、殺生丸様を信じておるぞ! 
人間の姿の犬夜叉は当てにならんしの。 
とか言ってる内に、犬夜叉の阿呆め、魍魎まるに押さえ込まれよった。
闘鬼神の激しい剣圧に魍魎丸の左腕が斬り落とされた。 
殺生丸様の妖力を溜め込み過ぎたんじゃ。
遂に堪えきれなくなった魍魎丸の身体が崩れ出した。 
朔の日が終わった犬夜叉も変化し鉄砕牙で反撃を開始した。 
形勢不利と見て、魍魎丸が、奈落のように瘴気を撒き散らし逃げの体勢を!
すかさず殺生丸様が闘鬼神で剣圧を向けられたが、奴め、結界を張りおった。
ンムムゥ~~~~惜しい処でございましたな。 
今一歩という処でございましたのに。
その後も、妖気の結晶を頼りに心臓の在りかを捜す旅を続けたが、旅の途中に、何気なく神楽の事を話題にしたら、殺生丸様が、ポツリと一言、「死んだ」と仰(おっしゃ)られた。
奈落を裏切ろうとしていた神楽の事、いつか、そうなるかもしれん、とは思っていたが・・・。
袖摺りあうも多少の縁、哀れな気もするのう・・・。 
この妖気の結晶にしても、あの女がくれた物ではあるし・・・。 
謂わば、これは、神楽の形見とも言える訳じゃな。(しんみり)
妖怪も死んだら成仏するんじゃろうか? 
昔、覚えた念仏でも唱えてやるか。
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏・・・
川縁を歩いていた時に、りんが見つけたのは、甲羅を持った大きな骨の骸。
冥翁獣という妖怪の亡骸で、その甲羅は、数多い妖怪の中でも、最も堅いと言われている物。
その時は、気付かなんだが、まさか、魍魎丸が、この冥王獣の甲羅を狙っておったとはな。
例によって、又もや、儂を、置いてきぼりにされた殺生丸様。 
モウッ、ひどいですぞ!
慌てて追いかけてみれば・・・。
ドワッ! な、な、何と、殺生丸様が、魍魎丸と闘ってる! 
それに、あれは、冥王獣の甲羅ではないか! 
あの堅い鎧甲に闘鬼神を突き刺し、闘気で貫かんとしておられる!
ギシ!ギシ!!ギシ!!! 
剣が、闘鬼神が、軋んだ音を立てているではないか。
ビシ! ビシ!! ビシ!!! 
ビシィッ! バキッ! キィ―――ン・・・・・・・・・
ア、ア、アァ~~~と、と、闘鬼神が、お、お、折れたぁ~~~~! 
そっ、そんなぁ~~~!
剣を捨てて、魍魎丸から逃れようとなさる殺生丸様! 
アワワ~~魍魎丸が犬夜叉めから奪った金剛槍破に捕らわれたしまわれた! 
妖鎧を砕く金剛石の腕! 
このまま握りつぶされてしまわれるのか!? 
そんな中、死人の巫女が放った破魔の矢が、魍魎丸の鎧甲に当たった。
犬夜叉が龍鱗の鉄砕牙で魍魎丸を攻撃する。 
バチ!バチ!バチ!ギリ!ギリ!ビシィ~~~ッ!
魍魎丸の鎧甲にヒビが!金剛石の腕にも! 
アア~~~殺生丸様、お労しい! (涙、涙)
熟した柿のようにグチャグチャになってらっしゃるかも・・・いや、そうに違いない!
ううっう・・・・ううっ・・・・う・・・・ん? 
おおっ! 殺生丸様が出てらっしゃった!
犬夜叉の攻撃も利いている。 
あの巫女が、再び、破魔の矢の狙いを定めて放った瞬間、魍魎丸が瘴気を発して逃げ出した。 
よ、よくぞ、ご無事で! 殺生丸様~~~っ!
強がってらっしゃったが、相当な深手を負ってらっしゃる。 
闘鬼神も折れてしまったし・・・。
どうなさるお積りかのう? 
天生牙は、闘いに使えんし・・・意地っ張りな御方だし・・・。
そんな進退窮まった時に、あ奴が 刀々斎が、現れたんじゃ!
ああっ。もう、これ以上、刺激せんでくれよ! 
んもうっ、また、そんな口を利いて。
だが、奴の来訪は、天生牙の意思らしい。 
天生牙を武器として打ち直す時が来たと。
驚いておられたな、殺生丸様。 
そりゃ、そうじゃろうな。 儂だって、びっくりじゃ。
刀々斎が天生牙を打ち直す為に、持ち帰ってから、今日で三日目。
魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する、こんな場所で、待ち合わせだとは。 
オワワッ!
人間である、りんの匂いに誘われるのか、雑魚妖怪どもが、性懲りもなく襲ってきよる。
アッ 又もや、雑魚めが、襲ってきた! 
すかさず、人頭杖で焼殺じゃ! ジュッ!
さっきから、そんな事の繰り返しばかりじゃ! 
刀々斎の奴、天生牙を持ち逃げしたに違いない!
そう、殺生丸様に申し上げてたら、奴が! 
ご丁寧に儂を踏みつけて登場じゃ! ムギュッ!!
渡された天生牙を、早速、抜き放ち、試そうとなさる殺生丸様。
ンンッ! 鬼が一匹、地中から出てきよった。 
刀の妖気に惹かれたのか!
天生牙の刀身に、ポウッと蝋燭(ろうそく)のように光が灯る。
鬼が襲い掛かってきた。 
一気に、天生牙を振り下ろされた殺生丸様。 ザン!
エッ・・・斬れてない!? 
いや、鬼の後ろの空間が裂けているではないか!
ババッ! 
鬼の身体が裂けた空間の形のままに、斬られ、その部分が無くなっている!
何でも刀々斎が言うには、天生牙は、元々、あの世とこの世を繋ぐ刀。
だからこそ、天生牙を持つ者には、あの世の使いが見え、それを斬る事で、死者をこの世に呼び戻す事が可能なのであり、それ故、逆に、あの世への道、冥道を斬り、其処から、敵を冥界に送る事も出来るんだとか。 
それこそが、天生牙の闘い方なのだ、と。
そして、その技こそが『冥道残月破』! 
オオォ~~~~ッ! 格好良い~~~っ!
何と、殺生丸様に相応しい技じゃ! 
何でも、今は、まだ、三日月程度の裂け目じゃが腕が上がれば、更に真円に近付き、敵の身体を、そっくりそのまま冥界に送る事も可能とか。
凄い技でございますな。 
この技ならば、奈落を倒す事も、きっと、可能に!
喜びに湧く儂ら一行を祝うかのように、風が、柔らかく吹き過ぎていったのう。
それからというもの、殺生丸様は、冥道残月破の練習に余念が無い。
練習台となる妖怪どもを求めて、あちらこちらの山へ。 
負けず嫌いな方じゃからのう。
散々、鬼どもを斬り捨て冥界に送ってから、次なる相手を求めて山を下りられた。
不甲斐無い弟を見兼ねたれたのか? 
犬夜叉が手こずっていた沼渡りなる妖怪を、天生牙の一振りで冥界に送られた事もあったな。
凄かったのう。
三日月の冥道が、以前より、更に大きくなり、沼渡りの大きな身体を吸い込んでいく。
いや、実に怖ろしい技じゃ! 
フフン、見たか、 犬夜叉!
殺生丸様の新しい技の凄さを! 
驚け! 驚け!もう、鉄砕牙には負けんぞ! 
わははははははは・・・・・・・・・・。
犬夜叉の方は、鉄砕牙に色々と他の力を付け足しているようじゃが使いこなせてはおらんらしい。 
殺生丸様に、図星を指されたせいか、怒って殴りかかってきよったが、逆に殴り返されておったわい。 
馬鹿者めが! 未熟者!
冥道残月破の特訓を重ねつつ奈落の臭いを追う旅を続ける儂ら一行。
殺生丸様が、何かを嗅ぎつけられたようじゃ。 
ソレッ、儂らも急いで後を追わねば!
ヤヤッ! あれは、何者?! 
今まで見た事のない顔じゃ! 
じゃが、この臭いは・・・紛れもなく奈落! 
又しても新しい分身を拵えたのか!? 
男の癖に多産じゃのう・・・。
ンン~~!? 側に倒れているのは、いつぞやの小僧ではないか。
確か・・・琥珀とか言ったな。
運良く冥道残月破から逃れおおせた奈落の分身は大きな折鶴に乗って消えよった。
隠れていた木陰から、身を乗り出し、倒れている小僧の許に駆けつける、りんと儂。

「触るな、りん」

殺生丸様の一言。
 
「毒ヘビだ」
 
ヒイィ~~~~~!
もっ、もう少し、早く言ってくだされ!
儂・・・噛まれてしまいましたぁ~~~~~!
ハウウゥ~~~~めっ、目眩(めまい)がぁ~~~~~(何となくフラフラしてきましたぞ)
アウウゥ~~~~儂の運命や如何に? 
きっと・・・殺生丸様が、助けて下さるじゃろうが、何か・・・悪い予感がするんじゃ。 
それも・・・とびっきりの悪~~~い予感が!
その後、儂の予感の正しさは、完膚なきまでに証明された。 
あの小僧のせいじゃっ!
りんが、あの小僧の世話を、親身になってするもんじゃから・・・殺生丸様のご機嫌が!
最悪も最悪! 
余り表情にこそ、出されないが・・・その分・・・余計に怖ろしい。
瘴気から回復した儂に「・・・もう、良いのか?」と体調を気遣う、お言葉。
普段、そんな優しい言葉をかけて頂いた事のない儂は、すっかり感激して、あの時の予感をコロッと忘れて、元気良く、「はい! もう、すっかり!」と答えた次の瞬間・・・。
儂は・・・あの世を・・・垣間見た。 
・・・凄まじい蹴りが、儂を襲ったのだ。
今までにも、ジャストミートされて、遥か彼方に、蹴り飛ばされた事は、あったが・・・。
今回の飛距離は、間違いなく、新記録じゃった。 
もう少し、蹴り飛ばす力が強かったら夜空のお星様になっていたかも知れん。 
それからと言う物・・・殴る、蹴る、石をぶつけられるの連続で。
それも、りんが、見ていない時に限って、やられるんじゃよ。
もうっ、そんなに、りんが、あの小僧と親しそうにするのが、気に入らないのなら、一言、仰ればいいではありませんか!? 
八つ当たりは、ミットモナイですぞ!
ギクッ!・・・し、しまった! 
つ、つい、本当の事を! 
せ、せ、殺生丸様、ウギャアァ~~~~~!
こうなったら、もうっ、早いとこ、あの小僧を、何処ぞに、厄介払いせねば!
でないと儂の命が危ない! 
それにしても・・・殺生丸様が、あんなに焼餅焼きだとは知らんかった。
ンン~~~そう言えば・・・りんが神楽に攫われて、殺生丸様が連れ戻された時も、ご機嫌が
良くなかったわな。 
あの時は、付近の温泉に、りんを連れて行くように仰せつかったのう。
よくよく考えてみれば、りんは、暫く、琥珀と一緒に居た訳じゃ。
小僧の臭いが、りんから、漂うのが、どうにも気に喰わなかった。
成る程・・・そういう事じゃったか。 
白霊山で同じように、死人どもから、りんを取り戻してこられた時もそうじゃ。 
近くに温泉が無かったもんじゃから、川で水浴びさせるように言い付かったな。 
詰まる処、殺生丸様は、りんに、他の男が近付く事が、絶対に許せないという訳で。
例え、それが、まだ一人前とは言えない少年であろうと・・・・。
だが・・・待てよ、殺生丸様は、筋金入りの人間嫌いで知られた御方。
これまでお供した百年以上の道中、襲い掛かってきた人間どもは、容赦無く、爪で引き裂いてこられた。
女であろうと、一切、斟酌(しんしゃく)される事もなかった御方。 
事実、犬夜叉の連れのかごめなどは、毒華爪で溶かしてしまおうとなさった程じゃ。 
鉄砕牙の結界のおかげで、かごめは無事だったがのう。
唯我独尊、冷酷非情が、売りのような御方であったのに、りんを拾われてからと言うもの殺生丸様は代わられた。 
りんが、一度ならず二度までも攫われてからと言うもの・・・絶対に、一人で残していかれる事が無くなった。 必ず、阿吽を、時には儂までも残してりんの安全を図られるようになったのじゃ。 
心配症の父親という処かの?
イヤイヤ!今は、まだ、りんが、幼いから男女間の感情など、心配せんでも良かろうが・・・。
とにかく、あの独占欲の強さには、まいったのう。 
りんの関心が自分に向いてないと面白くないんじゃから。
まるで、我が儘な駄々っ子其の物ではないか!

「アアッ! そんなに琥珀に近付くでない!りん!」

「お前が、小僧に、優しくすればする程、儂の生傷は、増えるんじゃぞっ!」

どうして?って・・・それは、その、殺生丸様が・・・(ギクッ)
『死にたいのか・・・・・邪見』・・・地を這うような低~~い殺生丸様の声が・・・。
スーパーハードボイルドを看板にしておられた殺生丸様が、焼餅を焼いておられるなんて死んでも認められる筈ないわな。 
その後は・・・もう・・・説明するまでも無いじゃろう。
とにかく、長々と儂の道中日記に、これまで付き合ってくれた諸君、心から感謝するぞい。
一旦、此処で、お別れするが、まだまだ儂らの道中は続く。
何しろ、まだ、奈落を倒してないしのう。 
冥道残月破にしても、まだ、完成形とは言えん。
これから、どうなるかは、まだ判らんが、儂らは、何処までも殺生丸様に付き従う所存じゃ。
例え、あの御方が、どんなに気分屋さんであろうと・・・八つ当たりで小突き回されようと。
殺生丸様の往かれる処、この邪見あり! 
りんや双頭の騎竜、阿吽と共に、宿敵、奈落を倒す為、明日も旅を続けておるじゃろう。
道中の無事を祈っててくれい。
頑張れ!頑張れ!邪見!負けるな!負けるな!邪見!!
ウムッ、元気が出てきたぞ! 
我が儘お坊ちゃまの殺生丸様と天然お喋り娘のりんを連れ、今日も戦国最高の僕(しもべ)、邪見様が往く! 
本当に世話が焼けるのよ、あの二人は!
儂でなければ、誰も、あの主の面倒は見れんわ!
其処の処をもう少し理解して下さると儂の下僕ライフも楽になるんじゃが・・・無理かのお? 
では、さらばじゃ、何(いず)れ、どこかで会う機会もあろう。
その時は、また儂の話を聞いてくれ!
 
        了

                                        2006.6/14(水)◆◆

《第八作目「邪見の道中日記」についてのコメント》

題を見て判るように邪見の目を通して殺生丸様ご一行の旅を語らせています。
この話を書き上げて、如何に邪見が殺生丸一行の中で重要な地位を占めているか(当たられ役?)を実感しました。 
おかげで『邪見★大好き』になりました。

2006.8/10(木)★★★猫目石

 

 

 

 

 

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