[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
邪見は醍醐に騎乗して眼下を見下ろした。
三年ぶりの人里である。
空から俯瞰(ふかん)すると村の様子が一目瞭然でわかる。
ごくありふれた村の佇(たたず)まいが目に入ってきた。
ふむ、相変わらずじゃな。
邪見は独りごちた。
村は見た感じ、三年前とそう変わっていなかった。
強(し)いて違いをいうなら真新しい家屋が二・三軒建っているぐらいか。
んっ! あれは誰じゃ?
幼子がトトッとよろけながら歩いている。
子供の側には見知った顔が付き添う。
刀の鍔を眼帯代わりにつけている隻眼の老女。
村を守る巫女、楓だ。
思わず知らず邪見は巫女の名を呼んでいた。
「楓~~~~~!」
名を呼ばれた巫女が上空を見上げた。
そこには一頭の竜にチョコンと乗った緑色の小妖怪の姿。
「おおっ、邪見ではないか。久しぶりだな」
邪見は醍醐に下降の指示を出し近くの草原に降りた。
ピョンピョンと竜から跳び下りる。
楓と幼子が側に寄ってきた。
「一年ぶりじゃな、楓、子守か。んんっ、その子は誰の子じゃ。初めて見るぞ」
邪見は楓がつれている子供に目をやった。
まだ歩きだして間がないのだろう。
足元がフラフラと覚束(おぼつか)ない。
「ふふっ、誰の子だと思う?」
「そうじゃな。大方、法師と退治屋の子じゃろう。あそこは、年中、盛っておるからな」
「外れだ。この子はな、犬夜叉とかごめの間にできた子だ」
「げぇっ、なっ、なっ、何じゃとおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉ!? いっ、犬夜叉とかごめの子じゃとぉおぉぉっ!?」
邪見は絶叫した。
犬夜叉は半妖ではあるが、主君、殺生丸さまの異母弟である。
その犬夜叉とかごめの間に出来た子供、つまり目の前の子供は西国王、殺生丸さまの甥っ子にあたる訳だ。
もっとも半妖の子なので妖怪の血は四分の一しかひいてない。
血の四分の三は人間だから殆ど人間といっていいだろう。
邪見は、まじまじと幼子を眺めた。
よくよく見れば子供の髪は村人と同じく黒い。
かごめに似たのだろう。
だが瞳は上質の琥珀を思わせる艶(つや)やかな金色だった。