陣中見舞い① 新年に向けて西国の城中は何処(どこ)も彼処(かしこ)も慌(あわただ)しい。 チョイと歩いただけで何やら運んでる女中どもにぶち当たられ突き飛ばされた。 何という無礼な! 当代西国王、殺生丸さまの壱の従者、この邪見を突き飛ばすとは! 「無礼者!」と相手を叱り飛ばそうとしたが、次の瞬間には、もう影も形もない。 むうっ、咎(とが)めようにも相手がおらんのではどうしようもない。 仕方ない、許してやるか。 それにしても、こうも女中衆がワサワサと出張っておっては落ち着くどころではない。 殺生丸さまは殺生丸さまで『りん』のいる御母堂さまの城においでだし・・・。 あっ? どうして一緒にいないのかじゃと? そんなもん、決まっておろうが! 殺生丸さまに置いてきぼりにされたんじゃ。 ククッ・・・殺生丸さまったら、酷い! いくら『りん』に逢いたいからってワシを置き去りにするなんて。 あんまりですぞ。 邪見は悲しゅうございます。 今、西国城内は年末の大掃除でバタバタして居場所がない。 どこにおっても掃除の邪魔だとせっつかれ追い出される。 本当に、もう、ワシ、どこに行けばいいんじゃ! んっ!? そうじゃ、久しぶりにアソコへ行こう。 そうそう、ワシ、何で思いつかんかったんじゃろ。 アイツらに近況を教えてやらんとな。 [2回]PR