邪見のボヤキ⑫ 次から次へと落ちてくる瘴気の塊に、村人が逃げ惑う。 何とも・・・・酷い惨状じゃ 今しも目の前で、親子と思(おぼ)しき男二人が、落ちてくる瘴気弾の餌食にならんとしている。 オウッ! 雲母に跨った法師が、風穴で、折り良く、瘴気弾を吸い取った。 ムムッ・・・しかし、奈落玉を何とかせんと、どうしようもないぞ。 そう思っていたら、奈落玉から脱出した犬夜叉が、新技の冥道残月破で奈落玉を攻撃。 刃の形をした冥道が、崩壊寸前の奈落玉に襲い掛かる。 殺生丸様の球形の冥道残月破を見慣れた身には、何とも面妖な! だが、効果は有ったようじゃの。 奈落玉は、消滅こそしておらんが、今にも崩壊しそうな気配じゃ。 奈落玉の表面を覆い尽くす、幾つもの渦巻き。 まるで、奈落玉の断末魔のようじゃ。 このまま、消え去ってくれれば良いのだが。 巫女の霊力を持つ、かごめが、破魔の矢を、番(つが)えている。 奈落玉を射る積もりか??? ウゥ~~ム、この先、どうなるんじゃろう??? まあ、殺生丸様が控えていらっしゃる事だし、犬夜叉も居る。 何とかなるんじゃろうが・・・・。 イヤイヤ、油断は禁物じゃな。 あれだけ狡賢(ずるがしこ)い奈落の事じゃ。 どんな奇策が飛び出すやも知れん。 今迄、何度、奴を仕留めたと思わされては臍(ほぞ)を噛んで来た事か! 思い起こせば、白霊山の時と云い、あの世の境での戦闘と云い、彼奴のしぶとさは呆れる程じゃった。 何度、彼奴の体を斬り刻み打ち砕いてきた事か! その度に、不死鳥のように蘇りおってからに。 だが、今度こそは、これまでのようには行かんぞ! 何と云っても、今や、殺生丸様には爆砕牙が有る。左腕も復活した。 犬夜叉めにも、殺生丸様に譲って貰った冥道残月破が有るしな。 そろそろ、お別れの時刻が、やって来たようじゃ。 名残惜しいが、此処で儂のボヤキもネタ切れになった。 いずれ、また、こうした機会もあろう。 ではな、皆の者、それまで達者で暮らせよ! [3回]PR