邪見のボヤキ⑪ 今にも崩れそうな奈落玉は、瘴気を撒き散らしながら、次第に高度を下げて行く。何とも不気味な姿じゃのう。 ンンッ、この方角は・・・・??? 儂らが逗留していた人里に向かっておるではないか! まさか・・・まさか・・・奈落の奴、これを村に落とす気じゃなかろうな??? 内心、危惧する儂らの目の前で、ボコッという音と共に瘴気の塊りが! 剥がれ落ちて行く! 上空から雨のように村に降り注ぐ! こんな強い瘴気に触れたら、人も獣も一瞬で御陀仏じゃ。 見ろ、村人の家が、瞬時に溶かされてしもうた。 フウッ・・・・危機一髪、それにしても危ない処じゃった。 もし、あの村に留まっていたら、儂も、あのように逃げ惑う羽目になっておっただろう。 それにしても、犬夜叉達は、何をしておるんじゃっ! 早く奈落玉の暴走を止めんかい! このままでは、村が壊滅してしまうぞっ! あの村、イヤ、楓という年老いた巫女の家には、りん共々、暫く厄介になった。そうした恩義がある以上、放ってもおけんではないかっ! 人間風情に恩義など感じたくないがな。 一応、妖怪にも“仁義”という物があるのじゃ。 [1回]PR