犬夜叉 -完結編- 第10 話「悲しみに濡れる花」 まず今回の題名を見て、「?」と思いました。 原作によると冥界編の後は花皇(かおう)という雑魚妖怪との戦いです。 このエピソードに、丸々、貴重な一回分を使いきるのかと思ったからです。 もし、そうだとしたら凄く勿体ないと感じてました。 実際には花皇との戦いと神無の鏡の妖怪の話、両方に通じるタイトルでしたが。 まず、花皇は花の妖怪だから『花』を連想するのは当然ですが、よくよく考えてみると神無自身、『花』なんですよね。 神無の妹である神楽も『花』です。 咲き誇る花の中、風に散った悲劇の『花』。 そして、神楽の死を悲しむ神無は、ズバリ白い『花』です。 『無』である神無には、色目が全くありません。 経帷子(きょうかたびら=死装束)のような白い着物をきた神無。 髪には白い椿の花が飾られてます。 そんな神無に和歌を詠ませて『花』を想起させるように工夫してます。 『花』、『悲しみ』、『濡れる』、このキーワードから導き出されたのが『悲しみに濡れる花』というタイトルでしょう。 そう考えると今回の題名に納得です。 全く違う内容の話に共通するお題をひねり出す。 これって、かなり難しい事です。 良く考え付いたものです。 ウ~~ン、今回のお題を考えた人、相当、頭を悩ませたでしょうね。 最初の話に登場する花皇(かおう)は、雑魚妖怪とはいえ、人の心の中の負の部分、悲しみや苦しみを養分とする非常に性質(たち)の悪い花の妖怪です。 その花皇に犬夜叉が狙われます。 桔梗を失ったばかりの犬夜叉は花皇にとって絶好の獲物。 人の心の痛み、悲しみの想いが、花妖怪、花皇の大好物だからです。 間違いなく花皇は『人の不幸は蜜の味』タイプ。 イヤ~~~な奴だな 今回の導入部分は神無による和歌の詠唱から始まります。 百人一首の中でも特に有名な小野小町(おののこまち)の歌です。 (花の色は うつりにけな いたずらに 我が身世にふる ながめせしまに) エ~~勝手に解釈しますとですね。 花(桜)は色あせてしまいました。 何日も降リ続いた長雨のせいで。 それと同じように私の容色も衰えてしまいました。 つらつらと虚しく物思いに耽(ふけ)っていたせいで。 小野小町は大層な美人だったそうで、花に自分の容貌を掛け合わせてます。 「ながめ」にも(眺め)と(長雨)を掛けています。 同じく「ふる」も(降る)と(経る=時間の経過)の掛け合わせです。 掛詞を、これでもかってくらい多用した非常に技巧的な歌です。 要はですね、ベッピンが花(桜)に準(なぞら)えて自分の美貌の衰えをヨヨヨッと嘆いてる歌な訳です。 またはチョッと視点を変えると時の流れの推移を慨歎しているとも取れます。 死んだ神楽のことを思う神無の心境を考えると、後者の時の移り変わりを憾(うら)む解釈の方が、よりピッタリ来るかなと管理人は思います。 それにしても、アニメ製作スタッフ、特にシナリオ作者は相当の教養の持ち主ですね。 ここぞという時に、その状況に相応しい和歌をサラリと入れてきます。 場面は転換して、イキナリ奈落の登場です。 桔梗が残した四魂の玉の中の一点の光に苦しんでいます、毒づいてます。 原作では何処ぞの活火山の中、ドロドロに溶けた溶岩の中で療養中のはずの奈落ですが、アニメでは断崖の楼閣の中という設定に変わってます。 結界の中、桔梗を罵(ののし)る奈落。 でも、それすらも今は亡き桔梗との繋がりです。 ゴチャゴチャ云いながら桔梗との切れない絆を(秘かに!)喜んでるとしか思えない奈落です。 更に場面は転換して一面の花畑が映し出されます。 完結編は映像が美しいのですが、今回は、特に綺麗です。 やはりカラーの力は絶大ですね。 これぞアニメの真骨頂です。 白黒の原作では、どうしても出せない迫力です。 花皇の話は花が重要なアイテムなのでカラー映像が最高に効果的です。 花に埋もれるような村で一泊するように誘われ申し出を受ける犬夜叉一行。 妖怪である七宝と雲母が、花の匂いがきつ過ぎるのか、花粉症と同じ症状を。 鼻が利く犬夜叉は、やたら、甘ったるい花の匂いに辟易してます。 人間であるかごめや弥勒、珊瑚には、何の兆候もありません。 夜になり、村人が可笑しな行動を始めました。 咲き乱れる花の中にフラフラと村人が入るとシュルシュルと蔓が伸びてきて絡みつき始めました。 すると村人は忘我というか法悦の表情を浮かべ血の涙を流し始めたのです。 何とも異様な有様です。 弥勒が御札を蔓に投げ付けるとシュ~~ッと花も蔓も消えていきました。 残ったのは村人の形をした土。 花皇が出てきて「花の苗床」などとふざけた言葉を発します。 ウネウネした髪が花皇の性情を表現しています(奈落のワカメ髪に似てます)。 妙にカマッぽい声ですね。 如何にも一癖も二癖もありそうな感じです。 人の心の弱い部分を衝いて心理的攻撃をかけてくる処は奈落と同じですね。 尤も、奈落に比べると実力的には比較になりません。 随分、小物の感じです。 珊瑚が、まず弱点である琥珀のことを知られて倒れました。 弥勒も身体に対する不安を探り当てられました。 どうやら、身体に蔓が触れると花皇に心の中の負の部分を知られてしまうようです。 (奈落の赤子の手と同じパターン) 頭に来た犬夜叉が花皇に風の傷を喰らわしますが逃げられました。 弥勒は気を失った珊瑚を守る為に動けません。 その代わりに魔除けの数珠を、かごめに渡します。 犬夜叉とかごめが花皇と戦うべく屋敷へ向かいます。 花に囲まれた屋敷で犬夜叉を待ち受けていた花皇。 桔梗を失って傷付いている犬夜叉の魂を思って舌なめずりせんばかりです。 それにしても、犬夜叉の心を代弁する花皇の台詞を横で聞かされてるかごめの心境を思うと・・・・。 ハア~~~~ 良く耐えてます、かごめ、辛かろうに。 わずか15歳にして、こんなヤヤコシイ状況に巻き込まれるなんて。 いくら、桔梗が自分の過去世とはいえ、管理人なら御免こうむりたい立場です。 犬夜叉の足元に拡がる血のような色の花。 ザワザワと巻きつく花の蔓。 花の中に犬夜叉が引きずり込まれてしまいました。 気がつけば、かごめ一人が、その場に。 花皇も居ません。 花の蔓が、かごめにも触れようとしますが、魔除けの数珠にバチッと阻まれます。 花皇の屋敷に連れ込まれた犬夜叉。 身体中に蔓が絡みつき柱に縛り付けられています。 血の涙を流し、とても安らかな表情です。 懐かしい桔梗の夢を見ているのです。 一方、かごめは、犬夜叉を助けようと必死に足掻いてます。 屋敷に入ろうとするのですが結界に拒まれてしまいます。 破魔の弓で結界を破ろうとするのですが、それも効果なし。 必死に叫ぶ、かごめの声が、ようやく犬夜叉に届きました。 目を覚ます犬夜叉、怒りに満ちて花皇をぶん殴ります。 まず顔を、次に土手っ腹に一撃。 しかし、花皇、やはり妖怪です。 身体は全て蔓・・・・気持ち悪い。 何十にもなった蔓が犬夜叉の胸元に突き刺さった その時、鏃(やじり)に魔除けの数珠を付けた破魔の矢が花皇を直撃 犬夜叉に巻きついていた蔓は消滅しました しかし、まだ花皇は死んでません。 屋敷の何処かに身を潜めてます。 それよりも、大変、かごめに花の蔓が巻き付いてます。 蔓により、かごめの心の中を覗き込んだ花皇。 犬夜叉の時よりも楽しそうに喜んでます。 桔梗と犬夜叉と自分との複雑な経緯(いきさつ)とこれまでの経過。 自分の心の中だけに留めておきたい秘めた思いをぶちまける花皇に怒り心頭のかごめです。 プライバシー侵害も大概にしろって感じです。 破魔の矢が打ち込まれる毎に消えていく花。 それでも花皇は諦めた訳ではありません。 奴の気配を探る犬夜叉。 花皇は、かごめを狙っていました。 背後から襲い掛かる花皇に鉄砕牙を一閃。 顔面を横に両断された花皇、ボロボロと花も蔓も消えていきました。 フゥ~~~~やっと仕留めました。 物理攻撃には強い犬夜叉ですが、心理戦には、結構、弱い。 特に桔梗が絡むとね。 辛いな、かごめ。 でも、そんな犬夜叉を支えられるのは、やっぱり、かごめしか居ない。 本当に、かごめは強くて優しい。 強いから優しいのか、優しいから強いのか。 出来た女の子です。 出来過ぎなくらいです。 犬夜叉は、かごめに甘え過ぎ ともかく、花皇の話は、ここまで。 次は神無の鏡が変化した鏡妖怪のお話です。 鏡のように映しだされた相手の技を全て奪い取る。 現代風にいうとコピー妖怪といった処です。 何だか、『NARUTO』に出てくるコピー忍者、カカシを思い起こさせます。 風の傷も金剛槍破も奪われた犬夜叉。 サア、どうするといった場面で次回となってます。 サラッと軽~~く流す積りだった今回のアニメ感想。 なのに、何で、こんなに懇切丁寧な内容になってしまったのか 新作も完成してないのに 何故だ 何故なんだ そういえば、原作連載時も、花皇の話の時は、やたら長い記事になりました。 やっぱり一度あったことは二度ある [0回]PR