必定の運命(さだめ) 奈落との最終決戦の後、現代に引き戻されたかごめ。 骨喰いの井戸は、それ以後、ピタリと次元通路を閉ざし沈黙を守ります。 そして、三年後、かごめの選択を聞き届けるかのように戦国時代への通路を開きます。 もう二度と開かない片道のみの通路です。 通り抜けたら最後、二度と現代へは戻れません。 それを覚悟の上でかごめは骨喰いの井戸へ身を投じます。 犬夜叉と共に戦国時代で生きるために。 普通の感覚で考えれば、まず戦国時代を選びません。 戦乱で荒れ果てた世の中、不便極まりない生活。 それでも、かごめは便利で安全な現代を捨て戦国時代へと赴きます。 そんなにも犬夜叉が大切だから。 前世からの宿命を引き継いだ恋人同士だからです。 そもそも、かごめが骨喰いの井戸に引き込まれ戦国時代へと運ばれたのは偶然ではありません。 桔梗の生まれ変わりであるかごめは体内に四魂の玉を隠し持っていました。 その四魂の玉の時を越える力が、かごめを戦国時代に引き寄せたのです。 四魂の玉の出現、それに呼応するように封印から犬夜叉が目覚めます。 全てが繋がっています。 かごめの前世である桔梗と恋人だった犬夜叉。 思わぬアクシデントで千々(ちぢ)に砕けた四魂の玉を捜し求める旅が始まります。 その過程で亡き桔梗が甦り仇敵の奈落も登場します。 四魂の玉と因縁がある仲間も集まります。 同時に四魂の玉の誕生の由来も判ってきます。 そして四魂の欠片を集める目的が当初とは変わっていきます。 欲望を叶える為ではなく奈落を誘き寄せる餌へと。 遂に四魂の玉を完成させた奈落との最終決戦。 兄上の力もお借りして奈落を滅したものの、四魂の玉は消滅しませんでした。 四魂の玉を消滅させるには、かごめと犬夜叉が、冥道に入り、二人で対決する必要がありました。 かごめの『消えなさい、四魂の玉』の命令のもと、やっと消滅した四魂の玉。 思えば四魂の玉によって、どれ程、人間や妖怪が運命を狂わされたことか。 その悪しき因縁を断ち切る為に、かごめは戦国時代に引き寄せられたのです。 単に四魂の玉の力だけではありません。 人知を超えた大いなる力の介入を感じます。 そして四魂の玉の消滅という使命を果たしたかごめは現代へと戻されます。 そこで物語は終わっても可笑しくないのですが、桔梗の生まれ変わりであるかごめには、もう一つの役目があります。 今度こそ犬夜叉と共に同じ時代を生きるという。 だからこそ、三年後、骨喰いの井戸の次元通路が開きました。 五十年前の桔梗と犬夜叉の悲劇の真相を知り、尚且つ、二度目の桔梗の死を見取ったかごめです。 桔梗の無念の思いを、犬夜叉への愛情を思う時、現代と決別せざるを得ません。 何より、そうしなければ日暮らし神社の開祖が存在しなくなります。 かごめが、どうやっても神社の由来を覚えられなかったのは、そのせいです。 だって自分が犬夜叉と一緒に様々な由来を作っていくのですからね。 時の修正能力が、シッカリ、そこに働いていたと推察します。 かごめが現代に別れを告げ、犬夜叉と共に生きる戦国時代を選んだのは必定の運命です。 ああ為るべくして為ったのです。 [0回]PR