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『邂逅=兄と弟=①』



※上の画像は『妖ノ恋』さまの使用許可を頂いてます。


また春がやってきた。
梅をみるたびに否応なく季節の移り変わりを突きつけられる。
犬夜叉にとって春は憂愁の季節だ。
骨喰いの井戸でかごめと別れたのも春だった。


かごめが自分の世界に帰ってから三年になる。
風穴の消えた弥勒は珊瑚と村に根付いて所帯をもった。
そして待望の子供を作った。
今じゃ二人の子持ちだ。
もうすぐ三人目が生まれる。


七宝は相変わらず村にいる。
たまに妖術試験のため村を離れる。
本当は旅にでて妖術の腕を磨くほうがいいんだけどな。
でも、アイツは頑として村から離れようとしない。


理由は分かってる。
アイツもかごめを待ってるんだ。
俺と同じだな。
いつ戻るかも分からないかごめを今も待ち続けてる。


もしかしたら・・かごめは・・もう戻ってこないかもしれない。
あの時、俺は逆らうことが出来ない力でコッチに戻されたからな。
四魂の玉が完全に消滅した以上、もう用はないって感じだった。
だから、かごめもアッチの世界に戻された。
そう考えると二度と・・あいつに・・・。


アア~~~ッ!
やめだ、やめだっ!
アレコレ考えたってどうしようもねえ。
俺は待つことしかできないんだから。
この季節が悪いんだ。
ロクな思い出がねえ。
そうさ、あん時だって・・・。


百年ほど前の思い出が犬夜叉の脳裏に甦(よみがえ)る。
とはいっても犬夜叉は桔梗に封印され五十年眠っていた。
その分を加算すると実際には百五十年となる。
生まれ落ちてから五十年、その頃の犬夜叉は人間に換算すれば五歳くらいだろう。


優しかった人間の母親は、とっくの昔に亡くなっていた。
半妖の犬夜叉は見るからに人間とは違う容姿を持っていた。
白銀の髪、犬耳、金色の目、長く鋭い爪、どれも人にはないものばかりだ。
異形は人から疎まれ蔑まれる。
幼い犬夜叉は人目を避け山野に暮らすようになっていた。

 

※『邂逅=兄と弟=②』に続く

 

 

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