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『愚息行状観察日記⑥=御母堂さま=』

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※上の画像は『妖ノ恋』さまの使用許可を頂いてます。


流石に気になってな、そのまま愚息の動向を覗き見ておった。
するとな、あ奴、何を思ったのか、万年、火を噴く火山に足を向けおったのだ。
そのような場所に何があるのかと思ったら・・・。
あれは、刀々斎ではないか。
成る程、あ奴か。
鉄砕牙と天生牙を打ち起こした希代(きたい)の刀匠。
当然、闘牙から詳しい内情を聞かされておったであろうな。
にも拘らず、殺生丸は刀々斎から何も知らされておらなんだと。
フムフム、それで烈火の如く怒り狂って刀の生みの親に苦情を申し立てにきたという訳だ。
あれもエラクすっ惚(とぼ)けた男だからな。
さぞかし生真面目な殺生丸は鶏冠(とさか)に来ようて。
オ~オ~怒っておる、怒っておる。
今にも口から火を吐きそうじゃ。
とは云うても、やはり、まだまだ青二才だな、老獪(ろうかい)極まる刀々斎を完全にやり込めるまでには至らん。
あ奴は相当な喰わせ者だからな。
最後にもう一度、面当てのように冥道残月破を喰らわせてから火山を立ち去る殺生丸。
さてさて、この後、傷心の息子殿は何処へ行くお積りなのかな。
ムッ、先程から筆頭女房の松尾が妾(わらわ)を呼んでおる。
ンッ、筆頭女房の松尾は誰かとな?
松尾はな、昔、妾(わらわ)の乳母(めのと)をしておった女でな。
俗に言う『育ての母』という奴だな。
それもあって妾(わらわ)でさえ、面と向かってアレに逆らうのは難しい。
仕方がない、一時ほど此の場を離れるとしようぞ。
この城の主(あるじ)としての仕事が待っておる。
それだけではない、妾(わらわ)は西国にも睨みを利かせねばならん。
有能な留守居役が目を光らせているとはいえ、かれこれ二百年も国主不在の状態が続いておるからな。
図に乗った鼠どもが次第に我が物顔にのさばり出してきおった。
「獅子、心中の虫」という奴だな。
チョロチョロと妙な策動ばかりしおって小煩(こうるさ)くて堪(たま)らん。
彼奴(きゃつ)らを叩き潰すのは容易(たやす)いが、それでは、殺生丸の為にならん。
それ故、今は、鼠どもをそ知らぬ顔で泳がしておる。
留守居役の者にも、その旨、シッカと伝達してある。
鼠退治は西国に帰還してからの愚息の仕事ぞ。
さぞかし大捕り物になろうの。
獲物は太らせてから仕留めるが最上というし。
アレが、どのように大鼠どもを捌(さば)くのか、お手並み拝見よな。
とは云うものの、今はそれよりも、殺生丸が天生牙を、イヤ、冥道残月破をどうする積りなのか?だな。
妾(わらわ)が闘牙から聞いておるのは、殺生丸に冥道残月破を完成させ、そのまま技ごと天生牙と鉄砕牙を融合させるという仕儀。
ウ~~ム、まんま半妖の丸儲けではないか。
考えれば考えるほど殺生丸に取っては業腹(ごうはら)な仕打ちよな。
かといって詳しい内情を教えてやる訳にもいかん。
殺生丸自身が決断し行動しなければ何の証(あかし)にもならんからな。
そうでなければ、あの刀が出現せぬとはいえ・・・。
ホッ、闘牙も随分と酷なことを考えたものよ。
アア、松尾が、また、妾(わらわ)を呼んでおる。
かなり痺れを切らしておるようだ。
仕方ない、では暫(しば)し、この場を離れる。
用を片付けたら、また戻ってくるでな。
待っておれよ。
 

『愚息行状観察日記⑦=御母堂さま=』に続く
 

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