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『四方山話=炉端談義=⑨』

「ンモォ、止めなさいよ、犬夜叉。それで、毒消しの薬草は貰えたのね、りんちゃん。」

 
「ハイ、でも、あの、おっ母、その時、変な事を云ってました。」

 
「変な事?」

 
「あのね、『惚れる』とか『二股』とか、何だか、良く判らない言葉。」

 
「ハア???」

 
流石に、状況が、良く呑み込めず、かごめが、首を捻った。

 
「あの皺くちゃ婆(ばばあ)、見た目にそぐわず、結構、夢見がちな処があったからな。大方、勝手に何か、変な想像でもしたんだろうよ。」

 
犬夜叉が、案外、鋭い読みを見せた。

 
「その・地念児の・・母上・と云う方・・は・確か・妖怪で・ある・地念児の・・父と・熱烈な・恋を・したので・した・・な。では・・多分・りんが・・妖怪の・毒消しを・・貰いに・行ったので・・そう・思い込んだ・・のでしょう。」

 
弥勒が、以前、聞いた事から推測して的確な判断を下す。

 
「心は、未だに乙女って訳ね。」

 
かごめも、以前、地念児の母が、ウットリと恋の思い出を語る様子を思い出し、納得する。

 
「それで、毒消しの薬草で、琥珀クンも、邪見も、治ったのね。」

 
「ハイ、おっ母は、親切に、気絶してる琥珀に、どうやって薬草を飲ませたらいいのかも、教えてくれました。でも、結局、その方法は、使わなかったけど。」

 
「???・・・りんちゃん、それって、どんな方法なの?」

 
かごめが、不思議そうに、りんに訊ねる。

 
「エッ・・とね、薬草をすり潰して、薬草汁にして、お口移しで飲ませるようにって。」

 
「ゲッ! それって・・・」

 
かごめが、絶句する。

 
「「「「「「・・・」」」」」

 
  純情な珊瑚は、顔を真っ赤にして下を向いている。楓に七宝は、目を在らぬ方に向けて
素知らぬふりをする。

 
「何ちゅう破廉恥な事を・・教えやがるんだ、あの婆。」

 
犬夜叉が、呆れたように呟く。

 
「フウ~~流石に・・半妖の・母に・なるだけの・・御方では・有りますな。中々・・想像力の・豊かな・ご婦人の・よう・ですね。」

 
弥勒が、妙に感心したような感想を述べる。

 
「コホン、とっ、とにかく、その方法、口移しは使わなかったのね。じゃあ、どうやって琥珀クンに飲ませたの? りんちゃん。」

 
かごめの問いに、りんが、アッサリと答えた。

 
「お鼻を摘まんで、口を開けさせました。殺生丸さまが、そうするようにって教えてくれたの。」

 
「そっ・・そう、殺生丸が。」

 
(ウワ~~~さぞかし、カンカンに怒ってたんだろうな、殺生丸。地念児のお母さん、その場に居なくて良かったわね。もし、そんな事を教えた張本人だってバレたら・・・)

 
心の中で、独り言(ひとりごち)る、かごめであった。

 
「ウウッ・・・おっ・・思い・出させ・・るで・ないっ! りん・・あの・時・毒蛇に・・噛まれ・たの・は・・儂に・とって・・痛恨・の・出来事・・じゃった。ククッ・・瘴気・の・毒で・・気絶し・ただけ・なら・・まだし・も・全快・して・か・らの・殺生丸・様の・・ご機嫌・の・悪さ・・と来た・ら・空前・絶後・・で・ウルルッ・・グスッ・・グスッ・・きっ・聞く・も・・涙・・・語る・も・涙・・・涙・・の・お話・なの・・じゃ。」

 
   邪見が、当時の事を思い出したのか、泣きながら話し出した。どうやら、泣き上戸にスイッチが、入ったらしい。唯でさえ、酔っ払って真っ赤な顔に、洪水のような涙と鼻水が加わって、余計、グシャグシャになっている。ハッキリ云って、見れた物ではない。

 
「殺生丸の機嫌は、そんなに悪かったの? 邪見。」

 
かごめが、此処で、誘い水を向ける。

 
「ウルルッ・・よく・ぞ・聞い・・て・・くれた。まっ・まず・・手始め・は・・儂が・“快気・祝い”・・を・申し・上げた・・時・から・・じゃった。人間・の・琥珀・・と・違い・・妖・怪・・で・あ・る・・儂は・・瘴気・の・毒か・ら・・回復・・する・の・も・・早・かった。寝・込んで・・いた・間の・お詫び・も・兼ねて・・丁重に・殺生丸・様に・御礼を・・申し・上げ・た・の・・じゃ。御礼・を・云い・・終わった・途端・・儂は・空中に・・蹴り・飛ば・さ・・れて・・おった。今迄・に・も・・殺生・丸・様に・・蹴飛ば・され・た事は・・何度・も・あったが・・あっ・あんな・・飛距離・・が・出た・事は・・なかった・・ぞ。間違い・・なく・・これ・ま・で・の最高・・記録じゃ。ウウッ・・もっ・もう・・少し・で・・危う・・く・夜空の・・お星さ・ま・に・・なって・しまう・・処・・じゃった。」

 
(ハア~~~悲惨・・・。良く我慢してるわね、邪見。でも、それって話の流れから判断すると、どうも、琥珀クンに対する嫉妬みたい。つまり、完全に殺生丸の『八つ当たり』って事よね。
アレレッ? そう云えば、犬夜叉も、鋼牙クンが絡んで来ると、矢鱈、イライラして焼餅やいてたっけ。そうか! 犬夜叉と云い、殺生丸と云い、兄弟揃って、独占欲が強くって嫉妬深いんだ。こうして邪見の話を聞いてると、余裕のない処までソックリじゃない。)

 
邪見の愚痴を聞きながら、自分なりの考えに耽(ふけ)るかごめ。

 
「大変だったわね、邪見。それで、その蹴っ飛ばしで、殺生丸の機嫌は、少しは良くなったの?」

 
「何・を・・云うかっ! それ・から・が・・お仕・置・き・の・本番・・だった・のじゃっ!」

 
「フ~~ン、他には、どんなお仕置きされたの? 邪見」

 
「それ・か・ら・と・云う物・・蹴られ・る・のは・・勿論・・・石を・ぶつけ・・られる・・わ・踏ん付け・・られる・・わ・殴ら・・れ・るわ・・とっ・・とにか・・く・・今ま・で・の・・お仕置・きの・・総浚(そうざら)い・・が・何度・も・・繰り・返され・・る・ような・・状態・だった・・のじゃ。」

 
りんが、此処で、不思議そうに口を挟んで来た。

 
「アレ~~~? 邪見さま、そんなに殺生丸さまに、お仕置きされてたの? あたし、ちっとも気が付かなかったよ。」

 
「あっ・・当たり・・前・じゃっ! お前・は・・琥珀・の・看病・・に・掛かり・きり・・だった・じゃろう・・がっ! そっ・・その・・逬(とばっちり)・が・モロに・・儂に・・来た・ん・・じゃっ!」

 
「どうして、あたしが、琥珀の看病すると、邪見さまが、お仕置きされるの?」

 
「それ・は・・じゃな・殺生丸・様が・・やっ・焼き・・モゴッ・・モゴゴ・・」

 
  かごめが、慌てて、邪見の口を塞いだ。これ以上は、りんに聞かせない方が良いだろう。何より、あの大妖の高過ぎるプライドを徒(いたずら)に刺激しない為にも。もし、りんから、迂闊な従者が酒に酔って、内部事情を、洗い浚(ざら)い、犬夜叉達に洩らした事が、ばれでもしたら・・・。殺生丸の事である。軽はずみなな下僕に、どんな報復をするか判った物ではない。


★★★『四方山話=炉端談義=⑩』に続く★★★

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