忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

邪見の花畑

ピヨピヨ邪見
さえずる鳥の声、眩しい陽射し、わしは、今、見渡すばかりの花畑に居る。
白い花が咲き乱れ、清らかな水の流れる美しい川。
何と気持ちの良い場所であろう。
でも、何故か、わし一人だけなのじゃ。
殺生丸様は?
りんの奴は?
阿吽は何処に居るのじゃ?
そう思って、辺りを見回すと・・・・・。
オウオウッ! いらっしゃった。 いらっしゃった。
殺生丸様が、いつもの典雅な装いでスッキリと佇んでおられる。
クウゥ~~~ッ! 何時、見ても何と麗しい御方なのじゃ。
その上、『戦国最強の大妖怪』の名をも欲しいままにされる強さ。
血筋といい、見目形の美しさといい、我が永遠の主、殺生丸様の右に出る者は居らんわ。
「殺生丸様ぁ~~~っ!」
お側に寄ると、殺生丸様が、わしの方をご覧になって・・・・。
「邪見、何処に行っていたのだ。私の側を離れてはならぬ。」
それは、それは、優しい御言葉を掛けて下さったのだ。
こっ、この邪見、お側に仕えて此の方、こんな優しい言葉を掛けて頂いた事は、今まで一度も無い!
驚きの余り、つい間抜けにも、ポカンと口を開けたまま殺生丸様を見上げてしまったのじゃ。
「どうした、邪見、何を驚いている。」
「いっ、いえ、とんでも御座いません!」
「いつも、お前には辛く当たっているが、あれは、私の本意ではない。」
「・・・・・殺生丸様。」
「それどころか、お前には感謝しているのだ。これからも、今までのように、誠心誠意、仕えてくれ。」
「せっ、殺生丸様ぁ~~っ」
殺生丸様が、この邪見めの苦労を汲み取って下さるとはっ!
ウウッ・・・・邪見、嬉しゅう御座います。
感激して喜びの涙を滂沱と流し・・・流し・・・流し・・て・・・・?
ビシャ――――――ッ
何?何が起きたのじゃ?
「ア~~ッ、邪見さま、気が付いた!」
慌てて跳び上がって見れば、りんが、素っ裸で蕗の葉を持って立っているではないか。
阿吽も側に来て、心配そうに、わしの様子を窺っておる。
りんが、蕗の葉に水を汲んで、わしに掛けたらしい。
どうやら、気絶しておったみたいじゃのう。
ブルルルッ、頭を振って周囲を見渡せば、殺生丸様は、木陰で涼んでおられる。
ハッ、思い出した!わしは、殺生丸様に滝壺に放り込まれたのじゃ。
カナヅチである、わしは、当然、溺れそうになって・・・・。
では、あの花園は・・・・あの川は・・・・三途の川かっ!
そして、現実では有り得ないような、あの、優しげな殺生丸様は・・・・あの世の使いかっ!
ゾゾゾォ~~~~~~~ッ
わっ、わしは、危うく、あの世に行く処だったのじゃ~~っ!  お終い

後書き::内心、ゲラゲラ笑いながら、この作品を書き上げました。現実には有り得ない、邪見に優しい殺生丸。要は、邪見の願望その物なのですよね。
きっと、原作の邪見も似たような事を、常日頃、考えているに違いありません。
書いてて凄く楽しかったです。

拍手[1回]

PR