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桔梗の思い

『降り積もる思い(27)=神無=』の後の部分に桔梗が出てきます。
鬼女、裏陶(うらすえ)の鬼術によって、無理矢理、あの世から魂を引き戻された桔梗の魂。
当初は犬夜叉に対する怨みの念に凝り固まっていた桔梗ですが、次第に本来の巫女の使命に目覚めていきます。
犬夜叉達と行動を共にこそしませんが、同じ目的(『打倒奈落 四魂の玉消滅』)に向かい尽力します。
そんな桔梗の心情を管理人なりに推測して描写してみました。



【生と死の間(あわい)に漂いて】

濃い藍色の闇の中、朧(おぼろ)に光る死魂虫(しにだまちゅう)。
ユラユラと宙を浮遊するアレらが運んでくるのは哀れな女の死魂(しにだま)。
ポオッと仄かな輝きを宿しつつ死魂は静かに私の中に吸い込まれていく。
済まない 死せる女達の魂よ。 
今暫(しば)し私とともに在ってくれ。
骨と土で作られた仮初めの体に納められた我が魂は体同様に不完全な物。
死魂を取り入れねば、この身を動かすことさえ叶わぬ。
生者ではないが完全な亡者とも云えぬこの身。
何故、 このような形で現世(げんせ)に留(とど)まるのか。
無理矢理、この世に引き戻された当初は、それすら定かではなかった。
唯々、愛憎に心引き裂かれた記憶だけが回帰して憎くて愛しい男を殺したいと思った。
亡者と生者、どう足掻こうと結ばれぬ運命(さだめ)。
ならば地獄へまでも共に連れゆこうと願った。
されど、天は、それを許さなかった。
愛しい男の、犬夜叉の傍らには私の生まれ変わり、かごめが寄り添っていたのだ。
輪廻の輪は既に回り始めていた。
私は桔梗、過ぎ去りし昔の亡霊。
だからといって、このまま消えることなど出来ようか。
もう一度、この世に連れ戻されたのには何か意味があるのではなかろうか。
そして思い悩んだ末に到達した結論は“四魂の玉を今度こそ消滅させる”こと。
私と犬夜叉が引き裂かれたのも元を糺(ただ)せば四魂の玉が紡ぎ出す悪しき因果の糸に絡め取られた結果。
鬼蜘蛛とて四魂の玉の力に惹かれ妖怪達に利用されたに過ぎない。
奈落という半妖を生み出す為に。
諸悪の根源である四魂の玉を今度こそ完全にこの世から消す。
そう思い定めた時、もはや迷いは消え去っていた。
不思議なほど心は静かで凪(な)いでいた。
浄化の巫女として奈落を倒し四魂の玉を消滅させよう。
それこそが、再び、この世に連れ戻された私の使命なのだろう。
 

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