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小話のネタ



※上記の画像は『ぱたぱたアニメ館』よりお借りしました。
URL=http://www.pata2.jp/

夕方(と云っても冬は暮れるのが早いから外はもう暗い)、買い物に行こうとマンションの共有部分の廊下の窓から、ふと外を見たら・・・・。
オオッ 何て見事な満月
思わずパチパチと拍手しちゃいました。
一般には秋の月が一年で、一番、美しいと云われます。
しかし、管理人は冬の月こそが最も美しいと感じます。
凍て付くような寒さの中、冴え冴えとした輝きを発する冬の月。
そう、冬の月って兄上を思い起こさせるんです。

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そんな月を見て、どうして想像せずにいられましょうか
管理人はアマチュアとは云え小説書きでございます。
あの見事な月をモチーフに何とか小話を捻ってみます。


『寒月』

ヒュウ~~~時折、吹き付ける風が凍るように冷たい。
二十四節気によれば今は小寒の頃、これから、大寒に向けて寒さが、益々、弥増(いやま)す時期だ。
家の中で、りんは囲炉裏の前に座り温かい夕餉の椀をすすっていた。
今夜は昨夜の猪鍋の残りだった。
大根や茸と一緒に煮込まれた滋養タップリな汁物。
ホカホカと身体が温まるのが判る。
猪は、昨日、訪ねてきた殺生丸が届けてくれた。
一緒に付いてきた邪見の話によると村へ来る途中、急に猪が襲い掛ってきたそうだ。
殺生丸は驚くこともなく無造作に爪で猪を屠(ほふ)り、土産に、丁度、良いと持ってきてくれたのであった。
今迄に見たこともないような大きな猪で、村の者、全員に振舞っても、まだ余る程であった。
残った肉は陽に干して干し肉として冬の蓄えに廻すことになった。
明り取りの窓から漏れてきた月の光に、りんが気が付いた。
窓の外に目を遣れば、空に掛かるのは見事な真円の月。
今宵は雲が少ない。
殆ど風に吹き飛ばされたせいだろう。
遮る物のない透徹した夜気の中、真冬の月は皓々と輝いていた。

「楓さま、ホラ、見て。大きな月が!」

「オオッ、これは見事な。そう云えば、今夜は十五夜、満月だったな」

「ねえ、楓さま、冬の月って怖いくらい冴えた感じがするね」

「そうだな、秋の十五夜が一年で最も美しいと云われるが、わしは、寧ろ、こうした寒の入りに入ってからの寒月こそが最も月らしいと思うておる。凍(い)て付くような寒気の中、その輝きは何処までも研ぎ澄まされて。そうさな、まるで・・・・」

楓が、敢えて口にしなかった御方の事を、りんも考えていた。
額にある月の徴、頬に走る二筋の朱の妖線、月のような金の瞳、月光のような銀の髪、冴えた美貌が月の化身を思わせる彼の大妖を。
月を見る度にりんは殺生丸の事を思い出していた。
りんに取って殺生丸は地上の月その物だった。
誰よりも美しく強い妖(あやかし)を慕い憧れ一緒に旅をした。
殺生丸が、りんを楓に預けてから三年近くなる。
りんが父のように兄のように慕ってきた大妖。
だが、近頃、そうした幼い感情が微妙に変化し始めていた。
殺生丸のことを思うと、りんの小さな胸の奥が微かに疼くのだ。

「殺生丸さま・・・・」

同じ頃、西国で月を眺めながら、殺生丸も、りんのことを思っていた。

「・・・・りん」

寒の月は冴え冴えと地上を照らしながら天上を滑るように渡っていく。
殺生丸とりん、互いの想いを橋渡しするかのように。     了


お詫び
済みません、今日は此処までです。
拍手の御礼は明日にします。
小話を捻り出したせいでパワーを使い果たしました。
バタッ




拍手[4回]

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