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かごめ日記①


※この画像は『妖ノ恋』さまの了解を得て公開してます。


あたしがコッチに来てもう三年になる。
ママ、爺ちゃん、草太、どうしてるかな?
特に爺ちゃんは年だから・・・。
元気かなあ。
あ~~気になる!
でも連絡のとりようがないのよね。
もう前みたいに骨喰いの井戸はアッチと通じてない。
だから行き来は絶対に無理。


せめて、あたしが無事だってことだけでもママ達に知らせたいのに。
犬夜叉と結婚して元気に暮らしてること。
男の子を産んで『夜叉丸』って名前をつけたとか。
ママにとって夜叉丸は初孫よね。
爺ちゃんからすれば可愛い曾孫。
草太は叔父さんになる。
それからもっともっと色々なあれやこれや。
知らせたいことが一杯あるのに。
ああもうっ、何かいい方法はないんだろうか?


んんっ、ちょっとまてよ。
そういえば家の神社って蔵にいっぱい骨董品があったのよね。
爺ちゃんがどれもこれも由緒がある物なんじゃって大事にしてたっけ。
アッチにいた頃のあたしは興味がなくて気にもしなかったんだけど。
あれって、もしかしてこの時代の物もあったんじゃないの???
思い返してみると妙なものがゴロゴロしてたのよね。
やれ天狗のヒゲやら竜の尾の干物なんて訳のわからないものが入った箱に巻物や壷なんかがドッサリあったの。
河童の手の干物はブヨに食べさせちゃったけど。
どう考えても妖怪っぽくない?


うん、間違いない。
あれってこの時代から引き継がれたんだわ。
ということはあたしが手紙を書いて残しておけばっ!
そうよ、運がよければ爺ちゃんが蔵の中から見つけてくれるかもしれない。
戦国時代のあたしが書いた手紙だって。
あたしの手紙を読めばママや草太だってきっと安心してくれるわ。
さあ、そうと決まればこうしちゃいられない。
早速、ママ達に手紙を書かなきゃっ!


とまあ、そういう次第であたしはすっごく張りきったの。
ここまではよかったのよ、ここまではね。
問題は、この時代、紙が凄~~くお高いってことなの。
京の都でさえ庶民にはおいそれと手が出せない貴重品だったのよ。
あっ、言っておくけど、この時代、まだ徳川幕府が成立してないから。
関東平野は殆ど手つかずの原野だったの。
この武蔵の国なんてど田舎もいいとこ。
紙なんて滅多に手に入らない貴重品なんだから。
現代みたいにお店にいけばホイホイ簡単に手に入る代物じゃないの。


弥勒さまが持ってたって?
あれはね、弥勒さまの商売道具なのよ。
法師という職業柄、お金持ちとの付き合いが多いから特別に融通してもらってるの。
お公家さまやお侍さまが使う料紙なの。
普段使いなんて絶対にできない高級品なのよ。
弥勒さま、あの御札をボロボロになるまで何遍も使いまわしてるんだから。
そんな大事なものを手紙に使いたいから譲ってくれだなんて云えないわよ。
まして書き損じなんかしたら恨まれそうで怖い。
駄目、やっぱり頼めない。


ハ~~この時代はコンビニどころかお店自体ないんだもんね。
この村もそうだけど、ほとんど自給自足が原則なの。
なんてったって戦国時代だもんね。
う~~ん、江戸時代なら和紙がかなり普及するんだけどな。
えっ、随分と詳しいじゃないかって?
あたりまえよ、あたしね、高校に入ってから日本史をみっちり勉強したんだから。
自分がいた時代についてもっと知りたかったしね。
教科書だけじゃなく図書館でこの辺りの郷土史の本を読んだりして色々と調べてみたの。


※②に続く

 

 


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