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俺の名前は夜叉丸。
年は二歳。
えっ、嘘つけって?
嘘じゃないよ。
俺は本当に二歳なの。
この村の者なら、みんな知ってるよ。
まあ、他所(よそ)からきた奴らは驚くけどね。
二歳にしちゃ大きすぎるって。
パッと見だと俺は五歳くらいにみえるらしいんだ。
身体も大きいし受けごたえだって二歳児とは思えないくらいシッカリしてるってさ。
だって、仕方ないだろ。
俺には父上の、妖怪の血が混じってんだもん。
母上の名はかごめ、父上は犬夜叉。
父上は半分が人間で半分が妖怪。
半妖っていうんだって。
大巫女の楓ばあちゃんが、そういってた。
父上の父上、俺のお爺ちゃんは犬の大妖怪なんだって。
お爺ちゃんの墓参りを二度もしたって母上がいってた。
だからかな、父上の耳は犬耳だし髪だってフサフサの銀髪だ。
アッ、気づいた?
そう、俺の目は金色なの。
これは父上に似たんだ。
髪は母上と同じで黒いけどね。
父上は半妖だけど凄く強いんだ。
そんじょそこらの雑魚妖怪なんか目じゃないよ。
村の若い衆が五人がかり、十人がかり、ううん、束になったって敵(かな)わない。
それに凄く力持ちなんだ。
大きな米俵を三つくらいは軽々と運んじゃう。
五つ、いや、十だっていけるかも。
力の強い男衆だって米俵を二つも持てばバテバテなのに。
それから父上の長くて鋭い爪。
下手な刃物よりも凄いんだよ。
こないだ暴れ猪が畑を荒らしたうえに村まで襲ったんだ。
でも父上がアッという間に爪で片付けちゃった。
その後、村中の者に猪鍋が振舞われてたよ。
美味しかったな。
茸狩りで母上が熊に出くわした時もそうだった。
父上が駆けつけて爪でひと薙(な)ぎして終わり。
熊の肉は熊鍋に、なめした毛皮は冬の防寒具に、熊の胆(い)は楓婆ちゃんが天日に干してから大事そうに薬草箱にしまってた。
あれってお薬になるんだって。
父上は鉄砕牙っていう刀を腰に差してる。
大妖怪だったお爺ちゃんの牙を打ち出して作った凄い刀なんだって。
父上は親父の形見だっていってたな。
あれね、ふだんはボロボロの冴えない刀なんだ。
でもイザとなると凄く大きな刀に変化して悪い妖怪をバッサバッサと薙ぎ払っちゃう。
まだ見たことないけど風の傷や爆流波とか色々な技を使えるんだって。
そんな父上は法師の弥勒伯父ちゃんと組んで妖怪退治を請け負ってる。
わざわざ遠くの町から妖怪を退治してくれって頼みにくるくらいなんだよ。
どうだい、凄いだろう?
◆『夜叉丸物語』の②に続く